羊を喰らう

羊を喰らう|女の哲学

  羊が一匹
  羊が二匹
 
  簡単に食べ尽くした
 
  羊が三匹
  羊が四匹
 
  ちょっと太っていたけれど
  何とか平らげた
 
  羊が五匹
  羊が六匹
 
  ちょっと弄び
  残酷な遊戯のあと
  内臓だけを貪った
 
  羊が七匹
  羊が八匹
 
  硬すぎる肉にてこずったけれど
  腐らせてすすった
 
  羊が九匹
  羊が十匹
 
  あまりのおいしさに
  肉の一片も残さず
  美しく飲み込んだ
 
  羊が百匹
  羊が千匹
 
  狩りの腕は冴え
  あらゆる羊を
  試し食い
 
  そして出会ってしまった
  全く歯が立たない羊

  どう料理しようかと
  思案する

羊を喰らう

  この羊を傷つけることは
  自分自身を傷つけること
 
  自分と同じ味がする
  己を食べる感覚で
  この肉を食らうことができようか?
 
  それでも本能は告げる
 
  喰い尽くせ
 
  骨の髄から爪一片まで
 
  喰って喰って喰い尽くせ
 
  それが血となり肉となり
 
  あなたは
  真の女に
  なるのです
 
  真の男と
  まぐ合うために

羊を喰らう2

(Photo: ©MikaRin)



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