憶えていること｜オーガズミック・ファンタジー

　　あれほど激しく抱かれ
　　燃え狂い
　　完全にひとつになったひと時。
　　その時間だけを繋ぎ合わせて生きていけたら
　　どれほど幸せだろう。

　　あの日私が憶えていること。

　　あの深い、深い絶頂
　　止まらないエクスタシー
　　あなたがイッときに感じた
　　迸る原色の衝撃
　　初めてあなたに跨って

　　一瞬で突き抜ける快感
　　深く響くあなたの声
　　優しい微笑み
　　フェロモンの香り
　　境界線のない密着した肌
　　あなたの味
　　私の涎で濡れるペニス
　　あなたの快楽
　　あなたの喘ぎ
　　私の身体を人形のように引きずる筋肉
　　私の中をまさぐる指
　　ベトベトの粘膜
　　絶頂の私を支える強い力
　　強く握りしめるあなたの手
　　私の足を押し広げるあなたの腰
　　私の中に入ってくる大きなペニス
　　ただ優しく抱きしめるあなたの腕
　　私の頭を撫でるあなたの手のひら
　　甘い口づけ

　　あの日、私が憶えていないこと。

　　何回自分を見失ったか。

(Photo: ©MikaRin)