ミレニアル世代の心を掴むための3つのキーワードとは? 〜記事一部抜粋〜

〜IDEAS FOR GOOD掲載記事より〜
https://ideasforgood.jp/2019/05/22/corporate-site-millennials/


就活など、自分と企業との関わりが深くなるほど「社会課題解決への積極性」を意識

一方で、回答が特徴的だったのは「あなたは就職する際にその企業が社会課題解決に積極的な企業かどうかは意識しますか?」という設問。上位二段階の「大変意識する」「意識する」の回答が68%と、高い数値となりました。つまり、自分と企業との関わりが深くなればなるほど「社会課題解決への積極性」を意識するようになる、という仮説が成り立ちます。


ミレニアル世代に支持されるための3つのキーワードとは?

どうしたらミレニアル世代に企業サイトに足を運んでもらえるようになるのでしょうか。ミレニアル世代が企業サイトを見る際に重要視するポイント15項目を6段階評価(「1.大変重要」「2.重要」「3.少し重要」「4.あまり重要でない」「5.重要でない」「6.全く重要でない」)してもらった設問をもとに、IDEAS編集部ではミレニアル世代を惹きつけるために必要な要素として3つのキーワードを抽出しました。

1. パーパス
「大変重要」の割合が高買った「5.社会的な取り組みに対する企業の“想い”がストーリーとして伝わるか(46.5%)」「1.企業の価値が落とし込まれている(34.7%)」などから企業の存在理由や存在意義、つまり「何のためにこの会社があり、何のために事業をするのか」を意味するパーパスが重要視される結果となりました。

豊かな時代に生まれ、お金だけがモチベーションにならないミレニアル世代は、承認欲求や自己実現欲求を満たしてくれるような何かを生活や仕事にも求めています。言い換えれば、個人も企業と同じようにパーパスを求めているといえます。だからこそ、企業がパーパスを示すことではじめて、個人は自分のパーパスと企業の目指す方向性とをマッチングをすることができ、共感を覚えることができるのです。個人は、自分のパーパスと一致しているブランドを応援し、消費や就職を通じてそのブランドの一部になりたいと考えます。

2. オーセンティシティ(真正性、ありのままの意)
今、ブランディングの本質が「よく見せる」から「ありのままを見せる」に変わってきています。「14.背伸びをしていない(大変重要:32.7%)」が支持されていることからわかるのは、いいことも悪いことも公にしたほうが消費者から信頼されるということです。投資の世界では「インテグリティ」、CSRの世界では「トランスペアレンシー」と言われることもあります。

そもそも企業としてのパーパスを明確に持ち、それが従業員にも浸透していないと、自社のありのままの姿を自信をもって見せることは難しいので、その意味でもパーパスは企業にとって大切なことだと言えます。

3. デザイン
最後に「6.デザイン性を大事にするか(大変重要:46.5%)」から、デザインが大切なことがわかります。

モノがあふれる時代の中で、ミレニアル世代においても「機能的価値」より「情緒的価値」の重要性が高まっています。ブランドエンゲージメントを高めるうえで「かっこいい」「美しい」というポジティブな感情を消費者から引き起こすことはとても重要であり、「なんとなくかっこいい」ということがとても大事になってきています。

これがうまく企業のパーパスを結びつくことで「社会にいいことをやっている=かっこいい」といった文脈でパーパスを消費者が受け取ることができ、社会にいいことは強制されてやるのではなく自分がやりたいからやる、かっこいいと思うからやる、といった「行動」に結びつけることができます。

ミレニアル世代に支持される企業サイト5選
上記の結果を踏まえ、アンケートの中で具体的にどんな企業サイトがミレニアル世代に支持されたかを見ていきましょう。

※それぞれの企業の5スター評価は、IDEAS編集部が独自に評価・採点したものです。

1. サイボウズ株式会社
アンケート結果、座談会の中でも特に人気があったのはサイボウズ株式会社(以下、サイボウズ)の企業サイト。サイボウズはクラウドベースのグループウェアや業務改善サービスを軸に、社会のチームワーク向上を支援しています。

サイボウズの企業サイトが支持された理由としては「“チームワークあふれる会社”を創る」という企業のパーパスがはっきりしている」「企業のオウンドメディア『サイボウズ式』での新しい働き方提案に関する記事には、会社のパーパスがきちんと反映されている」というパーパスが明確なこと。

また、サイトデザインのシンプルさへの高評価や「社員のSNS活用がうまく、企業で働く人の想いがよく見える」、「13年前は企業の離職率が28%だったこと(現在の離職率は4%)なども含め、ありのままに情報公開している」というオーセンティシティなどで、就活生を含むミレニアル世代に支持される結果となりました。

2. UNIQLO(ユニクロ)
株式会社ファーストリテイリングを代表するブランド、ユニクロ(UNIQLO)のサイトは企業サイトとECサイトが一体化した作りになっていることもあり更新頻度も高く、訪れるたびに新しい情報が得られるサイトです。

アンケートの回答であったのは「幅広く多種の事業に取り組んでいるため活動の影響力が大きく、もっとも環境を変えうる力を持っている。そういった社会的責任を企業サイトで述べている」という企業のパーパスが明確なことへの評価。当サイトでは「ユニクロのサステナビリティ」という項目で、わかりやすく海外での現地レポートや動画などを公開しています。また、サイトでは企業で働く多様性のある社員を動画などで紹介し、企業で働く人の想いがありのままに見えることが評価されました。

3. Apple(アップル・日本)
訪れるたびにデザインが変わるApple(日本)の企業サイト。

最も多かった声は「デザインがとにかくシンプルでおしゃれ」です。企業のパーパスもわかりやすく、社会課題に対する取り組みが企業サイトの中にわかりやすく現れています。

また、企業のパーパスも明確で、企業サイトに「環境」に関する取り組みを記載したページがあり、「真に革新的な製品は、地球に影響を与えることなく、世界を変えます。」と大きく書かれています。

4. Patagonia(パタゴニア)
アウトドアスポーツに適した機能的なウェアなどを販売するパタゴニアの企業サイト。

「私たちは故郷である地球を救うためにビジネスを営む」という企業の社会的責任、パーパスが一目ではっきりわかる企業サイトです。ブログで企業の環境に対する想いを配信しており、更新頻度も高く、一度だけではなく頻繁に訪れるきっかけを作っているといえます。アンケートの中では「ECやブログが見れるパタゴニアのアプリがあり、そこからアクセスがしやすい」という意見もありました。

5. IKEUCHI ORGANIC(イケウチオーガニック)
イケウチオーガニックは最大限の安全と最小限の環境負荷でテキスタイルをつくるトータルオーガニックテキスタイルカンパニーです。

アンケートの中では環境の負荷を最小限にしてオーガニックタオルを作る様子を動画で企業サイト上に公開しており、企業の想いが見えやすいという声がありました。

企業で働く人の想いをより消費者に伝える取り組みとして「イケウチノヒト」という工場で働く人たちのインタビューを企業サイトで公開しています。最近では、企業サイトだけでなく作り手とフォロワーをつなぐサービス『note(ノート)』でもこの「イケウチノヒト」を公開しています。企業サイトをもはや見にいかないというミレニアル世代に対し、自らミレニアル世代が集まるSNSやブログプラットフォームに行く選択に好感が持てます。

さらに消費者への露出を増やす仕組みとして、オウンドメディア「イケウチな人たち」を開始。社員ではないイケウチのタオルが好きな顧客・第三者へのインタビュー記事を配信しています。ミレニアル世代は口コミや第三者からの広告色のないありのままの評価のほうが信用しやすいという結果もあり、こうした飾らない評価を公開する点も評価されました。


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