【読書ログ】スナックちどり よしもとばなな著

この本を読むにあたって、まずはペンザンスという街を検索してみてほしい。そして、日中だけでなく夜の写真も見てほしい。
このスナックちどりという話は、その場所を鮮明に描けば描くほど、引き込まれるものがある。

スナックちどりはペンザンスという街を舞台に繰り広げられる2人の女性の話。心に淋しさを抱えた二人が、何もない土地で5日間過ごすお話。

この2人に起きたことは、育て親の他界や離婚。
割とありふれたことで、でも、各々の人生においてはとても大きいこと。

そんな二人が、だれも自分たちのことを知らない、海が目前に広がる街で、いとこ同士という血のつながりを感じながら、これまでとこれからの人生について、絶望したり、ちょっとずつ希望をもったりして、また、日常に戻っていった。

前回の第1作の読書ログみたいに、小難しいことを書こうと思ってパソコンを開いたけど、この作品はそんな無粋なことはしちゃいけないなと思った。

たぶん、この本を読むときに自分がどんな局面にいるかで全く受け取り方が違う。
確かなのは、少しだけ明日に、少し先に希望が見いだせること。
その希望は、希望っていうほど大げさなものじゃなくて。
生きていくしかない。という事実を認めて、ならどう生きてやろうかな、って。
そんな、なんとなく、前を向けるお話。

私は、窓から日が差す昼下がりに、コーヒーを飲みながらゆったり読んだから、そんなあったかい気持ちで終わった。
もし、夜、一人で読んだら、ペンザンスの雰囲気に囚われしまっていたかもしれない。でもやっぱり、どこかにすこし希望が見えたんだろうと思う。

ちょっと疲れちゃった人、なんとなく淋しさを感じる人、周りを気にしちゃう人、あったかい気持ちになりたい人、ぜひ、お昼にゆったり読んでみてほしい。



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