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モケイ写真を撮る その1

模型写真を撮ろう。ブログをやってない人もTwitterで自分の作品を見せない人も。写真に撮ると自分のいる世界が変わる。模型も変わる。

模型は孤独だ。小さな世界の片隅で誰に見られることもなく、ランナーから切り離して接着して色を塗ってデカール貼ったら本棚に飾ってサヨウナラ。たぶん模型に話しかける人はいないだろうし、模型が話しかけてくることも、たぶん、ないと、思う。

しかし写真に撮られた模型は違う。レンズが見る、模型写真は「私」に見られてる。鑑賞者がいて模型は初めて声を出すことができる。私という鑑賞者に向けて模型写真は語りかけてきます。作ってる時には気づかなかったことが写真から見えてきます。

だから別に人に見せるつもりでなくても、とても人に見せられるものでなくても、作ってる途中に、作り終わった時に、本棚に並べる前に模型写真を撮ろう。自分という鑑賞者のために。

「自分の部屋で模型を撮らない」

場所を変えます。机のカッターマットの上から模型を移動します。たとえば穏やかな光の窓際、天気がよければ午前中のベランダ、午後の和室の障子越しの光。日が暮れたら簡単に作った撮影ブース。場所を変えると模型の見え方も変わってきます。光が変わると影の中にディテールが見えてきます。

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場所がなければ、いつもの机の上でもOK。コピー用紙一枚でノートパソコンは素敵な写真スタジオに早変わり。傷だらけのマットに別の「見せマット」を重ねて工具を並べれば即席のショールーム。ちょっとよそ行きの場所を作ってよそ行きの気持ちで撮る写真に写っているのは、いつもの自分が作ったものとは違う模型の姿。

一眼レフカメラでなくても、いつものiPhoneで十分。使い慣れないカメラよりずっと綺麗に写真が撮れます。別にうまく撮れなくたっていい。最初は誰だってそうだ。作ったキットを撮る最初の一枚は誰でもうまく撮れない。

何枚も撮ってるうちにちょうどいい感じの写真が見えてきます。

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作りかけの模型の写真にはディテールの面白さが写ってます。あんなに注意して作ったはずなのに処理を忘れたパーティングラインが写ってることもあります。完成した模型の写真には模型にかけた時間が写ってます。考えたこと試したことが形の中に見えてきます。完璧と思ったウェザリングがなんだか不自然に見えたりすることもよくあります。

写真は残酷です。自分が想像してた以上に模型が上手くできることは絶対になくて、それが全部写ってしまいます。

(それを思い知る覚悟も必要になってきます)

だから、自分の部屋の薄汚れたカッターマットの上で模型を写真に撮ってはいけないのです。切なくなるから。

でも面白いことに、写真は撮り方次第で思いもしない模型の表情を見つけることもできます。あんなに気にした失敗も。全体の中では目立たなかったりします。写真を撮るアングル、照明と背景にちょっとだけ注意すれば、自分の模型も少し背伸びして写るようになります。

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写真を見て、いつもより上手くできた模型の姿が想像できれば、写真を撮る前よりもすこし上手く模型を作れるようになります。

(続く)

... ぼくは写真のプロでもないし、特別な機材も持ってません。基本、カメラはシャッター押すだけ。それでも撮った模型写真を見て気がつくことがあります。大事なのは「写真を読む」ことだと思ってます。撮ることと読むことの違いがわかると、人に見えないものが見えるようになります。そんな話を少しづつ書いてみます。

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