双璧の誓盟 第二話 微震(一)
関所を抜けてしばらく走り、市門が先に見えてきたあたりで二頭は速度を緩めた。ややもすると栃栗毛の方が前に進み出て、門の前で足を止める。明るさを抑えた臙脂色の羽織を空に遊ばせて馬上の男性が軽々と降り、手綱を引いて門の方へ踏み出した。
「ちょっと殿下」
男性は足を止めて振り返った。平均よりやや高い身長か。細身ながら適度に鍛えられた身体つきは服の上からでもわかり、すらりと伸びた四肢と均整を取っている。腰に佩いた剣が飾り物でないことは、注意力のある者ならわかるはずだ。
だが彼が纏