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第十四章 鳴動(三) 水道は次第に狭くなっていく。渡り廊下の下は、やっと小舟一つ通れる…
第十四章 鳴動(二) 窓の桟を軽く蹴って、カエルムは宙に身を投げた。視界の右側に例の不…
第十四章 鳴動(一) ロスは窓辺に駆け寄り、大鷲の脚から書簡を手早く取った。組紐から解…
第十三章 真意(三) 差し迫った問題を真剣に案じるカエルムとは対照的に、テハイザ王は心…
第十三章 真意(ニ) 「貴殿の訪問の申し出を好機ととらえました。私がシレアと友好を強化し…
第十三章 真意(一) その人物は、窓の外に広がる大海を背に三人を真正面から出迎えた。長…
第十二章 抜刀(三) 通路はなだらかな弧を作りながら下方へ向かって伸びていた。向かっていく先は城の最南端。白亜の石灰石でできた壁に窓はなく、他の廊下に比べるとひんやりとした空気に満ちている。絨毯や布製の装飾が皆無のせいか、靴音が四方の壁にぶつかって反響を繰り返し、立体的な響きとなって狭い空間に広がる。 「先ほどは助けて頂いてありがとうございます」 クルックスは落ち着きを取り戻したようだった。走りながらロスに顔を向け小さく頭を下げる。 「礼を言うのはこっちの方です。逃げ場
第十二章 抜刀(二) 鋼のぶつかる音が空気を震撼させ、硝子が小刻みに鳴った。その音が鼓…
第十三章 抜刀(一) カエルムの発言に、居並ぶ全員が息を呑み、驚愕が室内を支配した。凍…
第十二章 秘事(三) 翌日、待たされることしばらく、昼を過ぎた頃にようやく大臣自らが客…
第十二章 秘事(ニ) その光源は下方、ちょうど二人が立つ場所の真下から——すぐ下の部屋…
第十二章 秘事(一) 細く開けた扉の隙間から周囲に人がいないのを確かめて、カエルムは廊…
第十一章 誘惑(三) 甘くとろけるような女性の問いかけから数秒後、カエルムは吐息ととも…
第十一章 誘惑(二) 妖艶、というのがその人の第一の印象である。 一本だけ灯した燭台が、人物の顔を照らす。南方人らしい明るい肌色の女性だった。化粧を施した顔は類い稀な美しさであり、紅をさした唇は薄暗い部屋の中でいっそう艶かしく目に映る。肌を透かすほど薄い絹織の衣はひたと肌に添い、黄昏時の空を思わせる紫の布越しに、丸みを帯びた魅惑的な女性の体の線を露わにしていた。 蝋燭の焔を受けて艶やかに光る髪は長く、背中に這うようにしてくびれた腰の位置まで流れている。肩にかける薄布や