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暴君になる方法

Netflixのオリジナルドキュメンタリー『暴君になる方法』が面白かった。

1.アドルフ・ヒトラー(ドイツ)
2.サダム・フセイン(イラク)
3.イディ・アミン(ウガンダ)
4.ヨシフ・スターリン(ソ連)
5.ムアンマル・カッザーフィー(リビア)
6.金日成・金正日・金正恩(北朝鮮)

の全6エピソードから、暴君になる方法をプレーブック化して学ぶ、という番組。君も暴君になれる!的な。1話30分程度で見やすいです。

ヒトラー、フセイン、スターリンあたりはもういろんなところで飽きるほど語られているのでこの番組で見なくてもいいかな、という気もするけど、アミンカダフィー大佐(カッザーフィー)はどういう経緯で独裁者になったのかよく知らなかったので勉強になった。

特にアミンは、個人的に今回のオリンピックのウガンダ選手逃亡事件でウガンダ及びアフリカにすごく興味が湧いていることもあって1番真剣に観た。アミン、笑顔が可愛い。最初良い人だと思われてたのはこの笑顔のせいもあるのかもしれない。

それはともかく、コロナが収まったらアフリカ南部行きたいな〜。

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カダフィー大佐は元々は純粋な革命家だったのに闇落ちしたんですね。よくある話ですが。ベドウィンという出自に誇りを持ったあのおしゃれなファッションは好き。全暴君中、見た目は1番かっこいい。

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また、「暴君になる」以上に「暴君になってそれを維持する」のは難しいことで、そういう意味では今なお続いている北朝鮮の金王朝は独裁一族としてはかなり優秀。独裁を目指す者にとっては憧れの国、目標にすべき国だろう。

カリスマ性のある華やかな初代、地味で陰険な二代目、イケイケの三代目、という流れもまるで物語のようによくできてる。この番組ではあまり語られていないけど、これまで歯牙にもかけてもらえなかったアメリカの目をこちらに向けさせた金正恩の手腕と度胸はすごい(そのお金を飢えた国民のために使えよ、とは思うけど)。さすが「ワルそうな奴らは全員友達♩」のプーチンが認めただけのことはある。関係ないけど金正恩って顔自体は整ってるから痩せたら結構美形だと思うの。

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単独エピソードにはなっていなくて、ちらっと出てきただけのリベリアのサミュエル・ドウ(拷問→処刑→動画流出、という衝撃的な最期を遂げたというのが気になってYouTubeで検索したらNetflixから来た、という人がいっぱいいて笑った)、カンボジアのポル・ポト、チェコのチャウシェスク、などなど興味深い暴君がまだたくさんいるので、ぜひシーズン2をやってほしい。「暴君の妻・愛人編」なんかも面白いかも。

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しかし、これを観て改めて、1番恐ろしいのは正義感の強い人だな、と思った。

金と女が大好きで権力を握ろうとする人の気持ちは、まあ理解はできる。私だってどうせ独裁者になるなら各国の多種多様な美青年を集めてハーレムを作りたいw(他人を規制する気持ちは全然わからないけど)

こういうタイプはもちろん危険だけど、単純だから切るのも簡単そう。

逆に、謎の正義感を持っていて、その正義に合わない者をこの世から消すべき、と考えて独裁体制を目指す人は、本人としては正義のため、理想の世界の実現のために尽力しているわけだから本当に怖い。だからヒトラーが女遊びしないところに恐怖を感じる。陰キャ帝国・ナチス。

これは一般社会でも言えると思う。自分自身のことをちゃんと愛せていなくて、コンプレックスが強く、挫折や、人に嫌われがちな自分のことも全て社会や周囲のせいにする人の方が、アッパー系の不良よりずっと悪質。

教室のはじで「みんなが掃除をちゃんとしない」とキレながら掃除をしているような、一人で世界への恨みを募らせているタイプ、「頑張ってるのは自分だけ」となぜか思い込んでチャラそうな人を勝手に敵認定するタイプ、が最も危ない。

社会に不満がたまると、こういう人物が世間の共感を集めて民主的に国民の代表に選ばれてしまう可能性があるから、本当に気をつけて見張っていかないといけないし、ヤバくなったら即逃げられるようにある程度準備しておかなきゃいきゃいけないな、と改めて思いました。


★NANASE★

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