5分間インク水彩[3種類のゆるいバラの描き方]※オープン記念拡大版です。
インク好きにとって…いや、…インク沼の住人にとってインクは尊いものです。試し書きをしたちょっとした線や、ペン先にジンワリ馴染んだインクを眺めるだけで十分に楽しめてしまいます。
そんな沼の住人がインクで「花」を描く…なんと罪深い所業であることか。
花は一度描けると、持っているインクの数だけ描きたくなりますし、その花で「インク見本を作りたい!」なんて欲求が生まれてきますし、そのインク見本を充実させたくなってまた「インクを買う」といった業の深いループに陥ってしまうかもしれません。
ええ、私です。
そんなわけで、今回は万年筆インクでバラを描きます。共に堕ちようではありませんか!
メインの解説動画は「インク水彩編オープン記念拡大版!45分」。あ、ちゃんと編集してますよ、もちろん(笑)どうぞお楽しみに。
本日のお題「3種類のゆるいバラ」とは?
描き方次第で全く違う雰囲気を作れるのがインク水彩の良いところ。今回は3種類のタッチを選んでみました。こちらです。
左から
(1)「線に沿ってぼかす」で描いたバラ
(2)「色流し」で描いたバラ
(3)「色抜き」と「輪染み」で描いたバラ
の3種になります。
使用するインクは
・ペリカン エーデルシュタイン ガーネット
・セーラー 四季織 若鶯
の2つのみ。それぞれ花と葉に使用します。
それぞれの作画の見所・ポイントを簡単に説明しましょう。
(1)「線に沿ってぼかす」で描いたバラ
「線に沿ってぼかす」は万年筆やガラスペンで描いた線がを水筆でぼかしながら着色をしていく方法です。普段、絵を描かれる方であれば「線画を描いて、その後着色」の工程をとられる方も多いことでしょう。その際、線画を描いた時点で満足してしまい、「着色が面倒くさい」といった思いをいだいたことが…僕は結構あります。
線に沿ってぼかす方法で描くと「線画の時点で着色の半分が終わっている!」というちょっとしたミラクル感を味わえます。そう、「半分終わっているなら最後まで頑張ろうか」と、作画モチベーションを維持する上で大きな援護射撃をしてもらえる描き方なんです。
あ、もちろん表現としてもキレイです。
(2)「色流し」で描いたバラ
「色流し」は濡れたところにインクを落として、泳いでいる色で自然なグラデーションを作る技法です。このバラでは、水を多めに含ませた水筆で、筆のタッチを活かして花びらを描き、乾かないうちに濃い目のインクをたらしておしまい。
すぐに完成します。むしろ頑張れば頑張るほど味わいが無くなっていく「減点方式」の描き方なので、どうか頑張らないでください。
(3)「色抜き」と「輪染み」で描いたバラ
ブラシで絵の具をはねさせ「しぶき」を使った絵画技法でスパッタリングというものがあります。インクは水に弱いので、絵の具ではなく「水しぶき」でもスパッタリングができるんです。
水のスパッタリング…。最大の魅力は手が汚れないことですね。
あらかじめ作っておいた「いい加減な下地」にスパッタリングでつぶつぶの柄を加えると、味わい深い面ができます。その下地を活用して「複雑で絵画的な雰囲気」のバラが描けちゃうぞ、というのがこの描き方。
そもそも、この上の画像がなんかクリーニングや洗剤の効果を示した写真っぽいんですけれどね、「輪染み」というのは衣類にできた染みについてクリーニング屋さんがよく使われる言葉らしいんです。まぁ、それを作画に使えないかという発想から生まれた技法でしてね。
ではでは、そろそろ解説動画に入りましょう。
各バラ、それぞれ技法解説と作画で10分程度(合計は45分くらいありますが…)の動画です。どうぞ、ごゆるりとご覧くださいませ。
解説動画5分間インク水彩:3種類のゆるいバラの描き方
動画の目次です。
03:01 道具紹介
05:32 (1)「線に沿ってぼかす」でゆるいバラを描く
21:36 (2)「色流し」でゆるいバラを描く
29:46 (3)「色抜き」と「輪染み」でゆるいバラを描く
39:38 グラフィーロに手軽なゆるいバラを描く
※(1)の「線に沿ってぼかす〜」がやたら長いのは解説でやや脱線したからですが、内容が良かったのでそのまま採用しました。どうぞ、楽しんでくださいませ。
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