心の声に寄り添って
わたしの心の意思は、わたしの意思と違っていた。
中学に行こうとしても、心は嫌がった。
別に大丈夫だよと言うわたしに、心は反抗した。
なにが嫌なの?と聞いても、学校に関するすべてが嫌だと言うばかりで、はっきりと答えは出なかった。
わたし自身がわたしの心に抗えるはずもなくて、素直に従った。正しかったのかどうかはわからない。ただ、これでよかったと思っているし、思うようにしている。わたしを守るためにわたしの心は動いてくれた。それがどんなにありがたいことか。必死に守ってくれているのに、心を殺すわけにはいかなかった。
それでもわたしは、自分は無能だと責めた。
なにも出来なくて、平日だって一日中家にいた。体を動かすこともなく、テレビ欄がすっかり頭に入って、インターネットに張りついて、ジグソーパズルにクロスワードパズルにハマった。
家族との外出でさえ苦痛だった。
そんなだから、つい最近出会った人と長時間いれる状態ではなかった。
学校がすべて、という考えは中学生のときに変わっていった。
違う居場所があったから。
それを知っていただけで強かったよ。
ずっと心と話し合いをした。
心がわたしでいられるように、泣きじゃくってもわたしの中にいてくれた。母のようだ。
心の存在に気づいて数年、
ときにわたしが母になり、ときに心が母になる。
意見が合わないときも多く、やりたいことがすべてできるわけではない。慎重にいかないと自分も心も殺しかねない。
学生生活は終わったが、自分が変わった感覚はない。
だいたいは家にいるし、しゃべるときも単語を並べるだけ。
でも、時間をかけていろんな人がいることを知った。少なからずわたしを救ってくれる人が。
身の回りだけじゃなく、ネット上も含めて。
わたしに好きだって思える人ができるようになった。
心の声に寄り添いつつ、ふらふらと、ぬけぬけと。