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歩き遍路17番札所井戸寺

鱗楼さんで目覚め朝食をいただく。

朝から栄養満点のごはん。
おひつの中のおかわりも含めて完食!


相変わらず脚は痛い。昨日はなんとなくあちこち筋肉痛だなぁ、くらいの痛みだったのが、明確に膝の裏の筋肉痛に集中している気がする…。
そんな脚をやや不安視しながらではあるけれど、案外歩き出したら歩けるもので。

宿から約4km。井戸寺に到着。
ここまではひとまず順調。

井戸寺の縁起。
弘法大師、あちこちで水噴出させてる…。

井戸寺から恩山寺までは、距離にしておよそ20km前後。
今日は恩山寺手前の宿に予約をとっているから
お参りまではせず、宿に着いたらそのまま休む予定だ。
国道沿いを歩くルートと、峠越えの旧遍路道を歩くルート。
私は基本的には旧遍路道があればそちらを歩くつもりでいるので、あまり迷わず旧遍路道を選択。
国道沿いルートでは大きく迂回する山を軽く登るルートだと思われる。
距離的には近道なはずだ。
そう、距離的には。  

恩山寺に到達するまでに峠が二つ。
地蔵峠と、あずり峠。
地蔵峠は登り口となる麓に、地蔵院という番外札所がある。

納経印こそ集めてないけれど、挨拶くらいはと思って参拝をする。
どうやらこの地蔵院も弘法大師が安置したお地蔵さまが由緒となっているお寺で、「女人にとって大変なのはお産だ」と、安産を祈願して作ったものなのだそう。
その後は江戸時代に蜂須賀家(阿波のお殿様のお家)の安産祈願所になっているくらいなので本当にお産に関しては由緒あるお寺のよう。
私は当分縁がなさそうだけれど、女性として、弘法大師の老若男女みんなを思う心は尊敬に値すると思う。
医療が未発達な時代に、当時の女性は本当に心強かっただろうな。

地蔵院を出たところで、自販機の前で飲み物を買っている男性に声をかけられる。
「何か飲み物選びや、買ったげる」
ここが四国遍路の寺院じゃなければ、多分怪しんでただろうなぁ。もちろん怖い雰囲気の人ではないけれど。  

「お接待」という文化である。

焼山寺にお参りした日の「すだち」や、昨日の夜お接待でいただいた「梅干し」もそれにあたるのだけれど、四国遍路を回る人に大しておもてなしをする文化がある。
それはお遍路さん自身に対してだけではなく、お遍路さん一人一人に同行している「弘法大師さん」に対して捧げられたお供物とも取られる。
それから地元の人の「私自身は回れないけれど、私の祈りを託すわ」という願いとも取れる。
そしてこのお接待にはルールがあって「基本的に断ってはいけない」のである。
この時はありがたく自販機のペットボトルのお水をいただいた。
旅路に水分補給は必須だ。
お接待してくれた地元の人と話していると、門前の道路に見慣れた人影が。
「あ、ご夫婦!?」
最初の宿から何度かご一緒したあの夫婦だ。
地元の人に丁寧にお礼して、雑談をそこそこに切り上げてご夫婦に駆け寄る。

「今日も会えましたね!」

「地蔵院に寄ってたの?」とご主人
「足に豆できたりしてない?私は豆できちゃって…」と奥様。
地蔵峠を越えるまでこのお二人とご一緒した。
お二人とも、平地をウォーキング用サンダルで、山道を登山靴で歩いているみたい。
私はどの道もウォーキングシューズ。
登山靴は重いし、ウォーキングシューズは山道で足首がきつい。
確かに履き替えるってマストだよなぁ…、
とりあえずウォーキングサンダルがどんな履き心地か気になる私です。
それはそうと地蔵峠は未舗装な山道で、手すり代わりのロープを伝うような場所も多く、その雰囲気は焼山寺を彷彿とさせる。
足に自信がない人はご注意だ。

地蔵峠を越えると、道は国道バイパスに合流する。ご夫婦はここまで歩いて一旦鉄道を使い徳島市のホテルに再び泊まって、明日改めて先に進む道を行くのだそう。

一旦ご夫婦とはお別れだ。
「また一緒になるでしょうから」とご主人。
名前も知らない人との束の間の冒険。
これもまたお遍路の醍醐味と思う。

私は腹ごしらえをして再び遍路道へ。
昼はほぼちょうどお昼。
遍路道は二つ目の峠「あづり峠」へと突入する。
「あずる」とは徳島弁で「苦労する」とかそういう意味で、昔々、この土地に上陸した源義経公が苦労しながら越えた峠だから「あづり峠」。
一人、峠に入る。

そもそもこれって道なんですか…?

道なき道を行くも、急に道がなくなる。
と、いうのも、私の身長ほどもある笹のような葉の藪が鬱蒼と生い茂って道の体を成してないのだ。
うそ…だろ…?
ここまで来て戻り国道ルートに変えると、途轍もない時間と労力が水の泡に。
………………行くか。
みんなはこの道選ばない方がいいですよ。
ほんとマジでやめた方がいい。
山道平気派のらむちが声を大にして言う

あづり峠は行くな!!!!!!!

まじで…かき分けないと行けなかった…。
人生で初めて薮をかき分けました。
ポケモン(野生動物)が飛び出さないから不安で仕方なかった。
草の葉で腕を引っ掻いたし、服は草の種が大量に張り付いている。
誰だこんな道を最初に渡ろうとしたのは。

義経公さぁ………。

峠からの眺めはよかった。
記録をみるに、義経公この辺でご飯を食べたかも。

その後目印を見失ってどっちに行っていいかわからなくなったりもした。
とても、試練だったのでここに記しておく。

そんなこんなあって、舗装の国道沿いに出る頃にはもう夕方。宿の人から「いまどこー?」と電話連絡があったりもして、焦りつつ脚を早める。
宿に着いたのが18時半。
こんな遅くなるはずじゃなかった〜…。

今日も今日とて疲労困憊の体に美味しいご飯が大変沁みる。

今日のお宿は「民宿ちば」さん。
お遍路のことにも詳しいご主人と、旅館吉野で出会った女性がお話をしていて「道中でお接待のみかんをもらった」話をしていた。
「これからみかんはたくさん貰うよ〜」とご主人。
お接待の内容にも季節感が出るんだなぁ。
そもそももうみかんの季節か。
時の流れについていけない私でした。

今日もクタクタ。たくさん歩きました。
それでは皆さん、おやすみなさい〜!


鱗楼〜井戸寺〜地蔵院〜地蔵峠〜あづり峠〜民宿ちば

28.65km 42439歩

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