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元社畜がVライバーになって歩き遍路をする話その①

人はどうして四国遍路を目指すのだろう…。

愛媛県松山市、私の地元ではお遍路さんを見かけることは日常だった。
けれど、「歩いて」四国遍路を成そうとする人は流石に稀である。

元はと言えば、私の母方の祖母が四国遍路を趣味に持っていて、週末になればバスツアーに参加する週末遍路で、

そんな祖母が昨年亡くなったときは、かなり大量の納経帳や金剛杖などのお遍路グッズを整理する羽目になった。

そのうちの一部は葬儀の時に棺に収めることができる。
弘法大師空海が修行した聖地を巡る「四国遍路」の記録は、死者が冥府に遍く際にも閻魔大王さまにお見せする「通行手形」のひとつなのである。

そのとき、ふと私もこの聖地を巡ってみたいと思った。
晩年、会話すらもままならなかった祖母と私の、時を超えた対話だと思う。
「同じ景色を見に行こう、おばあちゃんと!」

「あえての歩きで!」
………………それを言った時の母親の、「正気か?」という表情を私は忘れない。

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