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ファーストピアス

ピアスを開けようと本格的に思いだしたのは、高校卒業後の3月である。高校はピアスが禁止だったため、卒業後の春休みに開けよう!と意気込んでいた。

私が通う専門は実習などが多い学校で、ファーストピアスには透明のものを選ばざるを得なかった。

「ファーストピアスに樹脂は危険!!」
「樹脂は不衛生!!」
「樹脂製のものは使い捨てを想定して作られています!!」

インターネットで調べるとそんなことばかりが書いてある。樹脂のピアスは膿んだり肉芽ができたり、そんな危険性が高いそうだ。
そんなに危険なら、なんで販売しているのか疑問である。

「これからピアスを開けるのが楽しみです!」
「昨日ピアッシングをしましたが、今のところは問題ないです!」

樹脂ピアス付きのピアッサーの購入ページには、ピアスを開ける前の意気込みや、開けたばかりの人のコメントばかりで、長期的に使用して何か問題があったかについて言及するレビューはほとんどなかった。

かなり躊躇った。
とりあえず開けてみるしかないのは分かっているが、せっかく開けたピアスがトラブルを起こしたらショックである。
販売されているものなんだから大丈夫でしょ、、、と自分に唱えても中々開けるに至らず、結局開けたのは約1年後の正月だった。

「取り敢えず買うだけ買おう!開ける日は後で考えよう!」
と、12月後半ににピアッサーをネットで注文したのだが、いざ手元に届くと不安よりも早くピアスを開けたい気持ちが勝ってしまう。
そして早々に穴を開けた。

バネの力でパチンと穴を開けるタイプのものではなくて、手の握りしめる力によって開けるものだったので、耳たぶに針がブスーーっと刺さる感触がリアルで笑ってしまった。

「想像していたより痛かった」
と友人や母に話した気がするが、時間がたってしまったのでそんなに痛くなかったような気もするのが不思議だ。

なんにも飾りがないピアスでも、自分の耳を見て、なんだか大人に近づいた気がした。

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