見出し画像

900点請負人!藤枝暁生先生に聞く、高得点到達のために押さえておくべき壁と勉強法


 【内容サマリー】
・勉強会の開催などを通じて、落とし穴になりやすい部分がよく分かった。その経験が書籍出版にも活かされている。
・壁にぶつかった時には勉強法を変えることも大切
・早く自分の学習方法を確立した人が勝つ


TOEIC L&R TEST 上級単語特急 黒のフレーズ(朝日新聞出版)やTOEIC L&Rテスト860点奪取の方法(旺文社)の著者であり、現役の会社員や酒場放浪家としての顔も持つ藤枝暁生先生に、TOEICのプロとしての経歴やスコアアップを目指すための勉強方法を伺いました。


藤枝先生のこれまでとこれから

TOEIC受験を決めてから満点を取るまで

mikan:今回はよろしくお願いいたします。さっそくなのですが、先生はどのようなきっかけでTOEICを受験されたのでしょうか?


藤枝先生:最初はTOEICというテストの存在を知らず、ただ「英語を勉強しよう」と決めたんです。大学卒業からまったく英語に触れてこなかったのですが、とりあえず英検の参考書を探しに何度か書店に足を運びました。しかし、何級の学習から手を付ければいいのかがわからなかったんです。そこで他の試験の対策本を探していると、初代のTOEICのガイドブックが目に入りました。当時TOEICは年8回試験日があって、年3回ほどの英検と比べると受験のチャンスも多く、試験形式や問題内容も日常会話やビジネス英語がベースになっていて、自分に合っていると思って。そこから受験に向けて勉強をはじめました。2005年の10月の時に、2007年の3月に初受験をすると決めました。

mikan:1年半前から受験を決めていたんですね。ちなみに、最初の点数はどのくらいだったのでしょうか?

藤枝先生:リスニング245点リーディング305点の計550点ですね。リスニングが壊滅的でした。僕らの時代、リスニングの授業というのは無かったんです。だから、耳から外国語が入ってきてそれを理解するという訓練をまるでしていませんでした。その壁を乗り越えるのに時間がかかりました。

mikan:なるほど。その後先生はTOEIC満点を取得されていますが、それまでどのくらいの時間をかけられたのでしょうか?

藤枝先生:900点を取ったのは2010年の11月ごろだったと思います。990点を取ったのは2013年でした。900点と990点の差は、幼稚園児と大学生くらいの差があります。本当に別物です。すぐ取れると思ったら全然そんなことなかったです(笑)

mikan:本当に大変なんですね!900点から990点に到達されるまでにどのような勉強をされたのですか?

藤枝先生:900点に到達した頃から、韓国の模試本が日本でも少しずつ出始めたんです。2012年に韓国模試の教材を購入して、そこからスコアが一気に上がりました。日本で出ている予想問題集と違って、韓国のものは過去問が収録されています。そして決定的な違いが、「和訳が載っていない」ということ。例えば1時間勉強したうち、20分問題を解いて、40分日本語の解説を読んだとします。この場合、実際に英語を読んだ時間はたった20分なんですよね。それが韓国の本になると当然日本語の解説が期待できないので、1時間すべてを英文の読解に費やすことになります。「英語を英語として理解する」ということが良かったんですね。

mikan:一度日本語に訳さない、というイメージですかね。

藤枝先生:そういうことです。ヒロ前田先生も同じようなことを言っていました。基礎を作り上げる段階では、当然解説や和訳を読むことも大切です。しかしレベルが上がるにつれて、日本語と英語に触れる比率は変わっていくべきだと思います。

mikan:なるほど。目から鱗です。

藤枝先生:大体の人は日本語訳や解説を読むのが好きなんですよね。どうしても900点を超えられないという人は、「和訳ができる=わかっている」と思ってしまうことがあります。その勉強法を続ける限りはあまり伸びません。和訳できるからわかっている、ということではなくて、英文が理解できているから、必要な時にいつでも和訳ができる、ということなんです。

mikan:今までの価値観が覆されたような感じです...でも本当におっしゃる通りですよね。

「解きまくる会」と受験者支援

mikan:先生はその後TOEIC受験者の方向けの支援をされていますが、それはどのように始まったのでしょうか?

藤枝先生:まだスコアが940点ほどだった2012年の後半くらいに、満点を取るべく、友人と共同で「解きまくる会」を主催し始め、それを2年ほど続けました。私は講師役を担っていたので、960, 970点で良いわけがありません。そして2013年、ついに満点に到達しました。それから一緒にやっていた仲間もスコアが上がり、最終的に15人くらいが満点を取得しました。人の入れ替わりもあったので、のべ100人近くが900点に到達したんじゃないかな。600点だった人が1年後に900点を取ったりしていて、改めてすごい会だったなと感じています。

mikan:す、すごい...最初はご自身のスコアアップのために始めた勉強会が、多くの人の目標達成にも繋がったということですね。やっぱり講師役の経験が、先生の満点にも繋がったのでしょうか?

藤枝先生:それはあると思います。理解していないことは解説できませんからね。当時は私も他の参加者と同じように初見で200問を急いで解いて、余った時間と15分の休憩時間で解説を考えていました。だから速く回答できるようにもなりましたね。今は怖くてできません(笑)よくあんなことやっていたな、と。ものすごい大変でした。

mikan:他の参加者の方とはまた違う制約の中で勉強したことが、先生の力にもなったということですね!


「900点請負人」としての経験を活かし書籍を出版

mikan:支援活動に加えて、先生は書籍の出版もされているかと思います。支援活動と書籍出版のなかで、リンクしている部分はあるのでしょうか?

藤枝先生:一般の学習者が間違えやすい箇所を分かっているという部分だと思います。セミナーや模試会を開催する中で書き溜めてきた間違えやすいポイントを書籍で公開したという感じなので、支援活動が無かったら書籍の執筆はできなかったと思います。

mikan:確かに、注意すべきポイントがわかるのは学習者にとってかなりプラスですよね。先生自身は現在TOEIC受験者のための支援活動や執筆活動を行われていますが、TOEFLや英検など、他の試験にもご活動を展開されていくご予定はありますか?

藤枝先生:具体的なビジョンはないのですが、可能性はあります。TOEICの対策のために、英検やTOEFL、IELTS、国連英検などの単語は見ました。大体の単語帳は後追いで、試験に出た単語を収録するという形が多いです。ただ、それだと間に合わないので、他試験の対策本や英字新聞を読みながら、未来のTOEICに出題されそうな単語を先読みしてリスト化しています。次の書籍あたりで載せられたらとも思っていますよ。

mikan:高得点を狙っている方には喉から手が出るほど欲しいリストですね...読めるのを楽しみにしています!

スクリーンショット 2021-02-17 10.54.11

TOEICスコアアップのためのアドバイス

押さえておくべき壁

mikan:次にTOEICスコアアップのための質問をさせていただきたいと思います。先生は、TOEICのスコアの中でどこに大きな壁があると考えられていますか?

藤枝先生:色々ありますが、まず700点が1つの壁ですね。中学の英文法がしっかり身についていないと、700点の壁は超えられません。その後に860点、900点の壁があるのではないでしょうか。この二つの壁は700点の壁よりも高いと思います。というのも、860, 900点の壁に当たる人の共通点は、勉強法にあるんです。例えば一般の企業でTOEIC900点ってすごいじゃないですか。つまり860点, 900点も取れたら、その人はすでに英語の勉強の成功者なんですね。しかしその自分の勉強法を過信しすぎて、こちらがいくら助言をしても勉強法を変えないという人も出てくるんです。860点を取るという段階では正しかった勉強法が、900点を取るときには最適ではないこともあります。

mikan:なるほど。得点によって壁も違って、それまでの勉強方法に固執せず変化させることのできる人こそが、壁を超えることができるということですね!

どのツールを使うか選ぶところから英語学習は始まっている

mikan:先ほどはレベルに合わせて勉強法を変える必要性についてお話ししていただきましたが、お仕事と勉強を両立されている方もいらっしゃるかと思います。そんな方へのアドバイスなどあれば教えていただきたいです。

藤枝先生:私の場合、以前は平日の通勤時間と昼休みで合わせて1日2時間半ほど学習していました。しかし、その時間では公式問題集を開いて問題を解くことはできません。なので、土日をかけて平日の学習の準備をするという進め方をしていました。このように勉強をする仕組みを作るのが大切ですね。今の人たちはアプリなどですぐに音源を聞けるので恵まれていると思います。ただアプリなどのツールは誰でも利用できるので、利用頻度や利用方法によっては、逆に差をつけられてしまうことかもしれません。良いものを適切に使って学習すれば、結果は出ると思いますよ。早く自分の勉強法を確立した人が勝ちます。

mikan:勉強ができるような仕組みづくりが重要なのですね!アプリなど自分にあった勉強法を取り入れて行くのも大切だ、と。

藤枝先生:そうですね。今は多くの人がスマホを持っていて、学習方法にも恵まれています。それなのに活用しないのはもったいないです。mikanをはじめ、アプリはゲーム性がありますからね。「さあやるぞ!」と意気込みすぎず、サッと学習を始められるのが良いポイントだと思います。

mikan:なるほど。コロナ禍で通勤時間が無くなり、勉強時間をどう捻出すれば良いのかわからない方もいらっしゃると思います。そのような方への勉強の仕組みづくりのアドバイスを最後にいただけますでしょうか?

藤枝先生:通勤や移動の時間が無くなり、一度身につけた習慣が崩れてしまった人は、もう一度そのルーティンを確立させる必要がありますよね。朝起きたら歯を磨くように、「散歩中に勉強する」「一時間早く起きて勉強する」など、自分で学習時間を決めるのが大切だと思います。

mikan: 時間を決める際に、mikanのリマインダー機能など、アプリの機能も使えそうですね。興味深いお話がたくさん聞けて嬉しいです。本日はありがとうございました!

対談を終えて

壁にぶち当たった時に、それまでの勉強方法に固執せず変化させることのできる人が高得点を目指せる人であるというお話を伺って、スポーツとも通じる部分があるなと感じました!自分と向き合うことは難しいけれど、やり遂げると結果がついてくることは励みにもなりますね。
書籍の出版を控えた大変お忙しいスケジュールの中、インタビューにご協力いただき、ありがとうございました!


プロフィール

藤枝暁生先生

企業向けのコンサルタントとして、主に自然災害のリスクアセスメントを担当しながら、TOEIC試験対策本の執筆作業も行なう。『TOEIC L&R TEST 上級単語特急 黒のフレーズ(★続編を新刊として出版予定)』『TOEIC L&Rテスト860点奪取の方法』の著者。酒場放浪家としても知られており、 著書には『サラリーマン居酒屋放浪記』『サラリーマンのごちそう帖』も。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?