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太平記という傑作大河ドラマをどうか知ってくれ

1月19日から大河ドラマ「麒麟が来る」が始まった。
Twitterのトレンドや様々な記事を見るたびにドラマ好きや歴史ファンが太鼓判を押すさまを見た。
私も勿論見ている。

正直言って無茶苦茶面白い。わくわくする。

時代考証の先生が戦国時代の大御所教授、小和田哲男先生なので安心しているし、昨今の歴史研究を取り込んでいるからこその細かな描写・背景が2話の時点で伺える。
Twitterは歴史研究家・歴史好きのユーザーがハッシュタグに載せて感想や考察をガンガン呟いているから、勉強になるし知識も増える。(もしTwitterがお江の放映時に普及済だったら大荒れだったかもしれない……花燃ゆは残念だったけど)

だからこそ、昔の大河ドラマもNHKでどんどん再放送して再評価を受けてほしい。

個人的には「麒麟がくる」の池端先生がメインで脚本を手掛けた1991年1月から放映した大河ドラマ「太平記」を今の人たちに見てほしいのだ。

※あくまでななころび個人の感想です

noteユーザーでもやはりレビューを書かれている方がいたのでこちらも是非。太平記見た人で「面白くなかった」「つまらなかった」という人はいないと思う(好き嫌いはあるとしても、つまらないという評価は無いと私は考えている)

太平記とは

太平記と聞いて、人によっては「あ!あれかぁ~~~!」とうなずく人もいれば、「真田太平記のこと?」と首をかしげる人もいるだろう。残念ながら真田太平記はNHK時代劇だけど大河ドラマではない。

歴史に詳しい人や大河ドラマを見たことある人なら「ああ南北朝ね」「名作大河だよね」と分かるだろう。うん。その通り。最初から最後まで硬派な作品。面白さは裏切らない。トッポに入ったチョコレートの多さ並にわくわくさを裏切らない。なお決して足利尊氏(高氏)が着ている直衣が地味だと言ってはいけない。あれは高氏の真面目さを表しているんだ。

原作は吉川英治先生の「私本太平記」という新聞で連載していた歴史小説。吉川先生の晩年の代表作の一つだが、この作品を執筆していた頃の吉川先生は病気で、湊川の戦い以降の話は非常に駆け足になっている。(完結させて間もなく世を去られた)
大河ドラマの太平記では、あくまで原作の名前をお借りしただけでその内容を尊氏中心に構成し直しており、湊川の戦い以降は観応の擾乱(足利家の内紛)に話がシフトしていく。主に政治的駆け引きが強めになるのだがそこもきっちり書かれている。

ちなみに太平記の劇中曲やメインテーマを担当しているのは大御所の三枝成彰先生。ピンと来ないかもしれないが、こういえばわかるだろうか。

Zガンダムと逆襲のシャアのBGMを担当した方

吹奏楽部好きには「Overture FIVE RINGS(1985年全日本吹奏楽コンクール課題曲A)」か。この曲は宮本武蔵のメインテーマを再構築した曲でもある。
三枝先生が手掛けた太平記のメインテーマはサビの盛り上がりでぐっとくるので是非聞いてほしい。最初のアーアアーの男性コーラスで「ああ太平記が始まったな」と思うようになる。

ちなみにななころびは太平記を見て真田広之氏を推すようになりました。
麒麟がくるにも出演してくれないものか……。

太平記と麒麟がくる の共通点【※個人の主観】

☆共通点をあげるならこのようなものだろうか
・脚本家が同じ
室町幕府の始まり(太平記)と終わり(麒麟が来る)がみれる
・大塚明夫氏と大塚周夫氏の声優親子がそれぞれ役者として出演している
(意外にも役者で出演している声優さんは多いです)
主人公の青年期がわりと謎(尊氏も光秀もわりと不明な点が多い)
・主人公が戦上手で振り回されやすい
・主人公に絡む農民枠がいる(ましらの石と菊丸)
・1話の時点で伏線バリバリ(麒麟が来るは未定だが火事が…)
・序盤にいる上司(?)がめちゃくちゃアクが濃い(北条高時と斎藤道三)
・生涯のベストフレンドが開始数話で登場(佐々木道誉と細川藤孝)

共通点ってどれくらいあるのかと思って調べたが、自分が感じたのはこれぐらいだった。個人の主観なので違うと感じる人も多いだろうけど。
主人公よりも周囲の武将の方がアクが強い。

はまり役が多すぎて有名

主演の真田広之氏はもちろんのこと「佐々木判官」で有名なバサラ大名「佐々木道誉」を演じた陣内孝則氏の癖のある演技がめちゃくちゃハマる
動乱の南北朝時代において「最後までちゃっかり生き残って政敵にきっちりやり返した」佐々木判官に惹かれた視聴者は多い筈。天衣無縫に生き続け、最初から最後まで尊氏の「よき理解者」で「味方」だったのも大きい(なんだかんだで彼を裏切らなかったしね)

(佐々木道誉がきてる赤金の直衣、左右非対称で無茶苦茶お洒落だしハイセンスで目立つし映像で見ると生えるんだ……3話とかおすすめ)
視聴した人は、この人以外の佐々木道誉役は考えられないんじゃないか、と感じるだろう。もし佐々木道誉が他の映像作品で出てくる事になれば、まず比較されるほどのぴったり役。(例えるなら高橋幸治氏の織田信長)

ぶっちゃけ太平記を見た人の中で陣内孝則氏の佐々木道誉を嫌いな人はいないのでは、と私は思う。

もちろん陣内孝則氏以外にもはまり役はたくさんいた。
新田義貞役の根津甚八氏、長崎円喜役のフランキー堺氏、北条高時役の片岡鶴太郎氏、後醍醐帝役の片岡仁左衛門氏、北畠顕家役の後藤久美子氏、足利直義役の高嶋政伸氏に高師直役の柄本明氏、足利貞氏役の緒形拳氏、楠木正成役の武田鉄矢氏、登子役の沢口靖子氏、藤夜叉役の宮沢りえ氏、ましらの石役の柳葉敏郎氏、金沢貞顕役の児玉清氏、赤橋守時役の勝野洋氏、一色右馬介役の大地康雄氏などなど。紹介しきれないからあとはWikipediaや解説サイト、オープニングをみてほしい。

クレジット配置の楽しさを知る

オープニングに出てくる映像やBGM以外にもスタッフ、特に役者のクレジットの順番を見ていくのもとても楽しいのだ。スレまであるのだから。
クレジットの順番は基本的に、主演・準主演→レギュラー陣→その他グループ→中グループ(特別枠)→トメ→大トメ(オチ)となっている(もちろん例外も存在する)。トメ枠は役者にとっては「格」を表しているらしく、後になるにつれて「大御所」率があがっていく。

一番最後にクレジットされる役者は「その回にでてくる役者の中ではトップクラス」とされる。つまり昔の作品を見れば「今の大御所役者も昔はここにいたのか」と思いはせることができる。楽しい。
中盤、盛り上がるところで一人だけクレジットされる役者も大御所率が高い。これはアニメのエンディングクレジットでも変わらないので、是非見てほしい。一番最後にくるスタッフが一番の大御所。

さいごに

私が太平記の中で特別好きな回をあげるなら「風雲児」「湊川決戦」「鎌倉炎上」「尊氏の死」だ。(最終回が好き?いや最終回であそこまで徹底的にいじめられる主人公ってそうそうないし……)
太平記は序盤・中盤・終盤と展開がくっきり分かれていて、序盤は「打倒北条家」、中盤は「北朝と南朝の争い」、終盤は「観応の擾乱(足利兄弟の戦い)」となる。そう、太平記は足利尊氏(高氏)がひたすら誰かと戦っているお話だ。
終盤の「観応の擾乱」は太平記をずっと見ていた人には精神的にキツイ展開だろう。なにせ尊氏最後の敵は実弟の足利直義で、いがみ合っていたのならまだしも仲が良かった兄弟同士の戦いなのだから。
南北朝時代はどうして舞台にならないのか、といわれたらただひとつ

昨日の敵は今日の味方、昨日の味方は今日の敵
敵の敵は味方

室町幕府(北朝)でも、尊氏派(正確には高師直派)と直義派に派閥が分かれているので「高師直派を倒すために本来敵の筈の南朝と手を組む直義派」というまさに敵の敵は味方の泥沼政治合戦が繰り広げられる。次の週で敵味方がひっくり返っていることもある。好きな人は好きな展開だが、はっきりとした敵味方がわかりづらいので歴史に疎い視聴者が混乱する。(歴史が苦手なななころびの母は幕末の大河が苦手だという。理由は「誰が敵で味方なのかわからない」から)
しかし、本当に面白い。面白いのだ。
この面白さをどう伝えればいいのか分からない。だが是非見てほしい。
昨今の大河ドラマに共通する登場人物のアクが強さはこの大河でも健在だ。特に長崎円喜(フランキー堺氏)と北畠親房(近藤正臣氏)と佐々木道誉(陣内孝則氏)は個人的に太平記三大キャラの濃さだと思う。真田丸の真田昌幸(草刈正雄氏)が好きな人は絶対好きなタイプの3人。
ちなみに「麒麟が来る」で斎藤道三を演じている本木雅弘氏は太平記に意外な役で出演しているので探してみるのも面白い。


なお太平記の主演は真田広之氏。つまりハリウッドスター・真田広之の演技とアクションを1年近くたっぷり楽しめるのだ。第1話「父と子」のある場面からスタント無しだと聞く。オープニングの乗馬武者が真田広之氏なのは有名な話。

なお、太平記で足利尊氏とその妻登子を演じた二人(真田広之氏と沢口靖子氏)は1987年の大河ドラマ「独眼竜政宗」でも夫婦役だったとか。
気になった方は是非DVDを買って、見よう!
え?高い? 総集編もあるので是非是非。

なお、アマゾンでは新品の金額がNHKの販売価格よりも高くしている業者がいるため、騙されないように注意。(50,000円代とかおかしいよ)


気は早いが、2022年の北条義時の大河ドラマも無茶苦茶楽しみ(真っ黒会議が拝めそう)。「草燃える」を見た人なら絶対わかってくれる。

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