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今日のハチミツ、あしたの私

寺地はるなさんの作品を読んだのは「川のほとりに立つものは」に続いて2作目だ。少しネタバレも含むが私の感想を綴っておく。

この作品から一番に感じた事は「置かれた場所で咲きなさい」という事であった。

主人公の碧は学生時代に出会った「あさのハチミツ」に救われ、心の拠り所にして毎日を生き抜いてきた。時は進み30歳。職なしの安西と結婚するために自分の仕事を辞め、実家を継ごうとする安西とともに安西の育った街へと向かう。しかし、そこで安西の親に結婚を強く反対され職無し、家無しの非常事態に。しかしそんな場所でも強く咲き続け、自分で自分の居場所を作っていく碧の強さに励まされる作品。

この作品からは置かれた場所で自分にできることを見つけて咲き続けることの難しさ、そしてそれ以上に自分で生き抜く人生の醍醐味のようなものを見出すことができ、自分の人生は自分で切り拓いていくものであると気付かされる。この強さを持った主人公碧ももちろん素敵ではあるが、スナックのママであり、いつも温かくそして強いあざみさんや養蜂家で生き方が不器用で応援したくなる黒江さんなど愛着の湧く登場人物が他にも登場し、自分までこの街に来たような感覚になるところも魅力的であった。

自分の居場所がわからなくなった時、お守りにしたい一冊であった。


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