ものがたり洋菓子店　月と私

最近、食べ物にまつわる本にハマっている私が今回読んだ本はこちら。読んでいるだけでおいしさに包まれてお菓子をつい買いたくなってしまうのが難点。

住宅地のはずれにひっそりと建っている洋菓子店でシェフとして働く糖花さんと執事のような出で立ちをした語部九十九さん。語部は自分のことを「ストーリーテラー」と呼んでいる。そう、この洋菓子店は「ストーリーテラーのいる洋菓子店」なのだ。このふたりが織りなす洋菓子店の世界に飛び込んだ時、美味しいお菓子ととそれにまつわる素敵な話に包まれる。疲れた時に食べる甘いお菓子のように読むだけで美味しさと幸せを感じ、心温まる一冊。

何より印象的なのは登場するお菓子一つ一つをまるで食べているかのような気持ちになれる美しい洋菓子の紹介である。そして、人は言葉の力によって大きく変われるのだと気付かされる。