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ハワイ流 キャンプへ行こう

久しぶりに大好きな場所へ2泊3日のキャンプに出かけた。
まずは準備だが、ハワイの人はとにかくたくさんの物を持って行く。家族友人が揃うようなキャンプでは、発電機やトイレをレンタルしたりと家の快適さをそのまま野外に持っていく感じ。
しかしわたしは、なるだけ少なく小さい荷物で挑みたいとパートナーのまるちゃんに釘を刺すので、トラックの荷台だけで収まった。
それを見た家族が「わー わたし達ならトレーラーつけて行くけど、それだけで大丈夫?」と言う。やっぱり。

荷物が多くなる理由は、いわゆるキャンプ地のような設備の整った場所ではない大自然のど真ん中へ行くからだ。
今回の場所もまた、一般道から1時間以上溶岩の上を走ってたどり着く秘境。
溶岩は流れた状態のままなので、急に下がったり上がったり、砂利よりも大きいギザギザの岩が続くと思えばスムーズになったりの道なき道を4躯でゆっくりと進む。
何度も降りてはどういう風にハンドルをきるか試行錯なので、辿り着くまでが長く車酔いしそうな揺れだ。
道なき道でも誰かが目印をつけてくれてる。
曲がる地点には白い石がわかるように置かれていたりして、キャンパーは助け合っている。

そうしてやっと我々の場所と呼ぶ小さな砂浜のある場所へ到着した。
着いたらすぐにオープンなテントと寝る用のテントを張る。
ハワイはお外文化、テント文化なので、わたしも個人サイズから何十人用のパーティサイズまで張り方の経験を積んでいる。
こういう時にいつも感心するのはまるちゃんの紐結び技術だ。
用途に合わせいろんな結び方をするのを見ると、一本の紐でいろんな事ができるものだなあと思う。

テントができると折り畳みテーブル2つを出し、キッチン用具を置いて椅子をセットすれば日陰のリビングが出来上がった。
クーラボックスも2つ持ってきた。
ハワイの日差しの下で氷を3日持たせるためには大きなサイズが必要だし、収穫した物を持って帰る用も必要なのだ。
収穫とは?とお思いでしょう。
今回は釣り竿と餌持参、そしてオピヒと呼ばれるハワイの人達大好物の貝を収穫予定なのである。
この貝はルアウと呼ばれる大きなパーティには必須のメニューであり、その為にどの家庭でも冷凍庫に大量に保管されている。
うちのファームでも数百人単位のパーティを開く事がよくあるので、オピヒはとても喜ばれる。

さて日もまだあるし、夕飯までさっそく釣りへと繰り出す。
ハワイの日差しは強くあっという間に焼けるので、ラッシュガードや日除けは必須だけど、今回足を油断して短パンのラインが見事に赤と白で残ってしまった。
まるちゃんはフィッシャーマンでもあるので、釣り方や魚の名前など習いながら釣り糸を垂れる。
ハワイ島は浅瀬も溶岩だからよく釣り針を引っ掛けたりと初心者には難しいけど、どう引けば外れるかも習う。
そうしていると魚がかかる。
南国の色鮮やかな魚達の模様を見るたびに、一体誰がこんなデザインを魚達に纏わせたのだろうなんて想いを馳せるのだ。

その夜はご飯を炊き、持ってきたチリビーンズなど温めてて頂く。
持参した薪を組んだ焚き火を見ながらの食事は簡単な物でもめちゃくちゃ美味しい。

さて、このキャンプ地だが、ボコボコになってもいい4躯でしか来れない秘境でありながら実はコナという街にとても近い。
昔の空港のすぐそばなので、飛行機が上を飛ぶのだ。
満天の星空の下、波の音を聴きながら過ごす合間にすぐ上を飛行機が飛んでいくのだが、
わたしはなんとなくその兼ね合わせが気に入っている。
以前、釣り人しか行かないような、ものすごい秘境でキャンプした事があったけど、あれはワイルド過ぎて怖かった。漆黒の闇に光る目…動物の気配だったり、電話も繋がらないから何かあったら終わり、な場所よりは、だーれもいないけど、遠くに街あかりが見え、これから始まるハワイ旅行にワクワクしているであろう人達が乗っている飛行機を見上げて、ちょっとだけ他者を感じられるセッティングの方がわたしには合っている気がする。
テントに横になって白い雲の合間から光る星を見ていると、ゴーっと飛行機が飛んで行く。
シュールな世界。

朝目覚めて目の前の砂浜を眺めるとブブブという音が聴こえる。
見に行けばそこにハワイアンモンクシールが寝転がっていた。
そういえば以前来た時もここにいた。
またお邪魔しています。と挨拶する。

今朝はオピヒ貝採りに行く。
オピヒは岩壁に付いているので、干潮の時間を調べ潮の引いた頃に採る。
まるちゃんは腰にネットの袋を巻き、手にはバターナイフを持って出陣。
濡れた溶岩は滑るので、足には「TABI」と呼ばれる滑らない靴を履く。
このネーミングにも日系文化を感じるよね。
わたしの仕事は「高波がくるよー」と叫ぶ事だ。
毎年このオピヒ採りで人が亡くなるらしく、いくら干潮でも海は侮れない。


こうしてたくさんの貝を収穫し、たまに降る雨にトラックへ走り、突風で飛んでいきそうなテントを押さえたりしながらも、のんびりと過ごした。
今わたし達の家は雨水とソーラー電気のオフグリットで自然と寄り添う暮らしだけれど、こういう場所でのキャンプでは雨、陽、風がより身近に感じられる。

「まるちゃんさ、もしオピヒ貝採りが仕事ならワクワクしながら仕事したかもね。昔はこれが仕事で、山の地域の人のタロ芋と交換したりしたのかもよ。」
かつてこの島ではそんな暮らしが営まれていたのだろうか。
そして今でもそういう暮らしの方がずっと馴染めるだろうと、ハワイの人々を知るほどに強く思う。
キャンプは人間の五感と肉体をフルに使うから、スピード感が半端ない今は特にいいかもね。
美しいものをたくさん見て感じて、想定外な出来事を解決する決断力も身につく。
さあ この夏はキャンプへ行こう!

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