ニチアサの話がしたい vol,202
■今週のガッチャード
・禁断の101重錬成
冥黒王より先に宝太郎たちの前に立ち塞がったのは何とスパナだった。ケミーの存在が明らかになったことによって、無関係の人にまで危害が及んでいると説くスパナは、同志の錬金術師たちと(その1人の役を『キングオージャー』でヒルビルを担当した五十嵐睦美さんが演じていらっしゃる!)宝太郎たちを拘束し、全てのケミーカードを奪い取る。鏡花は「何を、考えているんだ?」と真意を尋ねるが、スパナは優しく、あるいは寂しそうに微笑むと「ありがとう……鏡花さん」と呟いて姿を消してしまう。そこへ「誰か!スパナを止めて!」と倒れ込みながらやってくるラケシス。彼女曰く、スパナは1人で101体全てのケミーをその身に取り込む「101重錬成」を行い、その力で自分の命と引き換えに冥黒王を倒し、冥黒王もケミーも仮面ライダーもいない真の平和な世界を作ろうとしているという。
多重錬成自体は番組開始初期の頃から錬金術の高等テクニックとしてスパナやラケシスが使用し馴染みも深く、ギギストはその強化版である「属性を超えた多重錬成」を得意としていた。そのギギストと戦っている時は「さすが冥黒王。今までと違う能力を持ってるんだな~」くらいにしか思っていなかったのだが、ここでギギストと同じ「黒い炎」の力を持つスパナの捨て身の手段として「多重錬成」という要素を持ってくる脚本の巧さに舌を巻く。スパナがギギストの眷属であることはかなり前から明らかにされていたが、まさかこういう形で生かしてくるとは予想外であった。誰もができるわけではなくリスクも多い多重錬成は、確かに挺身に走りがちなスパナの「切り札」として皮肉なほどピッタリだ。自分を止めに来たラケシスを一発で気絶させるほどの腹パンを喰らわせる、「手段は選ばない」と宣告した通りのスパナの容赦の無さと、それでもその一撃を放つ前にラケシスに「鏡花さんのことを頼んだぞ」と、言い残すなど、彼の中にある変わらぬ鏡花への愛情と、いつの間にか積み重なったラケシスへの厚い信頼が見て取れてグッと来る。
・絶対的安息地の崩壊
スパナのあまりに自己犠牲的かつ横暴なやり方に戸惑いを隠せない一同。しかしスパナの言う通り、世の中の状況は話し合いの余裕もないほどのスピードで悪い方へと進んで行く。宝太郎たちを探す悪人たちは富良洲高校の通学路にもたむろし始め、「キッチンいちのせ」までもが襲撃に遭ってしまう。今まで冥国の三姉妹すら攻めてこない、「絶対的安息地」として描かれてきたキッチンいちのせ。その前提がついに崩されたことに、番組の終了が近いことを実感させられる。私個人としては、珠美さんはもうとっくに宝太郎のやっていることが「部活」なんかじゃないことは承知だと思っているのだが、それでも多くを宝太郎に尋ねず、「自分の夢中になれること」である店の業務を危険を顧みず全うしようとする珠美さんの仕事人ぶり、常に宝太郎を信じ支える母親としての凛々しい姿を「お母さん、かっこいいね」と評するりんねがまた良い。
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