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ニチアサの話がしたい vol,192


■今週のガッチャード

・丁寧な番組の、丁寧な心の折り方

 今週の『ガッチャード』第37話「ホッパー1のたからもの」を観た全国のお子様の多くが、我が家の3歳の甥っ子と同じことになったと思う。即ち、号泣。いや、お子様だけではない。ある程度覚悟して臨んだ姉貴も、私も泣いた。辛い。辛すぎる。

 無論、ケミーを仲間にしその力を借りながら、同時に悪意が宿った彼らを「敵」として倒してきた『ガッチャード』において、宝太郎の相棒であるホッパー1のマルガム化は決して避けて通れない道だとは常々思っていた。だからこそ、ホッパー1マルガムの誕生は「その時」が来ただけなのだと頭では分かっているのだが、心の方はやっぱりどうしてなかなか受け入れられない。しかも舌を巻いたのはその悲劇に至るまでの描き方だ。登場人物の感情の変化や関係値の積み重ね、サブキャラの扱いやギャグパートの構成すらも丁寧に丁寧に作ってきた番組だからこそ、視聴者の心を折ってくる時も、ガッチャードチームの仕事はとことん丁寧で、そして確実だった。それが作品にとって必要なら、どんなに辛くてもやる。逃げず、誤魔化さず、徹底的に。例え残酷だと言われてもやり切る。それが『仮面ライダーガッチャード』という作品が持つ、代え難い誠実さの証なのだ。

 もう見返すのも苦しいのだが(マジで)第37話が『ガッチャード』という物語に欠かすことのできない、スタッフ・キャスト渾身の一話であるからこそ、表出されたものを衒いなく真正面から受け取り、「ちゃんと傷付く」ことこそが、ガッチャードファンである私ができる唯一の「誠実」な向き合い方なのではないかと思う。読者貴兄においても「この回はもう文章であっても追体験したくないんで……」という方もいるかもしれないが、心の準備ができた方はどうか一緒に「ホッパー1のたからもの」の世界へダイブしてほしい。

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