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ニチアサの話がしたい vol,166


■今週のガッチャード

・青春の光と影

 人とケミーの出会いを明るく楽しく、時にビターに描いてきた第1章を終え、今週から新章が開幕。これまではカードのレベルナンバーを足し「10」になる2体のガッチャンコケミーたちをメインに取り扱って来たが、新章では1体だけで「10」の力を持つ超強力な「レベルナンバー10」のケミーにスポットが当たり、以前から何かとキナくさかった錬金連合内部や、マルガムの破片を集め謎のドライバーを生成していた冥黒の三姉妹の企てにも切り込んでいく構造のようだ。

 いよいよ本格的にドラマが動き出しそうな気配だが、今週第11話「キャッチ!スパイだ!ライダー失格!」の序盤は、言うなれば嵐の前の静けさならぬ、嵐の前の賑やかさ。色々あった修学旅行を乗り越え、より一層団結も深まった錬金アカデミーの生徒たちは、虫取り網片手に木漏れ日のうつくしい、青々とした野山を走り回り、回収したケミーカードをアカデミーのカウンターに並べはしゃぐ。彼らの笑顔に寄り添うように流れる、高木洋さんによる爽やかな劇判の旋律が美しい。今作で本編監督とアクション監督の両役を務めた福沢さんがオーディオコメンタリーにて「青春映画をイメージした」と語っていたこれら冒頭の宝太郎たちから溢れる若さは眩しいばかりで、だからこそ、このきめらくような日常は実は「既に失われてしまった」ものなのだと分かる、「この時の俺たちは全く知らなかった。あの恐ろしい事件の前触れが既に始まっていたことを……」という宝太郎のナレーションがより一層切ない。輝きというものは往々にして、それが曇ることで初めて「それは輝きだった」と気付くものなのだ。まさに、「青春の光と影」である。

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