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ニチアサの話がしたい vol,168


■今週のガッチャード

・「心」に寄り添う夕陽と母

 3週に渡って続いた、言わば「ドレッド・錆丸編」の完結編となる『ガッチャード』第13話「とりもどせ!ユージョー×フォーエバー!」。前回12話は、これまでの明るく楽しいくやさしい『ガッチャード』のイメージを覆すようなハードな展開が話題を呼んだが、今週13話も前回からのシリアスな流れを汲みつつ、仮面ライダー参加は7年前の『ゴースト』ぶりだという渡辺勝也監督による、キャラクターの心に寄り添った情景描写がグッと目を引く。

 Aパートで特に印象深い二つのシーンがある。
 ひとつはサビーの身を案じる蓮華の場面だ。蛇口が向かい合わせになった水飲み場、二脚のベンチ、隣が空いたままのブランコ……。否が応でも欠けてしまった「もう1人」の存在を感じさせる黄昏時の公園で、蓮華は言葉を発しなくなったアイザックに語りかける。「サビー、今どこにおるん?元気か?……なあ、応えてや……」アイザックは応えず、真っ黒なままの画面に心配そうな蓮華の顔が映り込む。キィ、キィと揺れる物悲しいブランコの音。眩しいほど輝く西陽の中、静かに吹き抜ける風が木々の葉と蓮華の髪を揺らす。「夕陽の渡辺」と異名を取る監督ならではの切なく美しい映像が、蓮華の計り知れない胸のざわめきを映し出す。

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