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口を開けたオブジェと、吹く男

10月5日のニュイブランシュの夜、西條茜の「タブーの室礼」会場で、作品に口をつけて、空気を吹き込むパフォーマンスがあった。作家にはやきものが臓器や楽器のように中空の「器」だという思いがあり、そこへ呼吸や声を吹き込んでみるという試み。

どんな音がなるのだろう、ということよりも、面白いのは作品に吸い付くパフォーマー(妙齢のメンズ)の姿だった。展示されている新作は、有機体の気配を強く宿した妖艶な作品。すべてに口が開いている。楽器ではないので、吹いたところでフーフー、ブーブー、多少増幅されて漏れるだけ。それでも何らかの反応を求めて、作品の開いた口に吸い付いて挑みつづける男たち。それを眺める女性ギャラリーたちの冷ややかな目線(笑)も含めて、圧倒的に女性上位の作品空間があらわれた。西條さんのドミナ性を感じたひと時(気のせいだろうが)、気持ちよい夜だった。




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