◯ 学生相談室のこと
大学構内の一番端の古い校舎を抜けたところ、生け垣の先に小さな建物があった。
『学生相談室』と書かれてあり、最初は何度も入口を覗いて伺っていたが、ある日勇気を出してドアを開けて入っていった。
それからは想像にかたくない、ほぼ常連の人となった(比較対象がいないので多分)。
小部屋にほとんどいつも先生だけがいて、本を読んだり暇そうに見えた(後で聞いたら色々やる事があると事)。
最初は五輪真弓似の女性の先生で、ひたすら傾聴してくれ、私も話すことがなくなりテーブルの上のポトスを眺めていた。
大学の授業はよくわからないし、出席してもしなくても、自分の存在がよくわからなくなってしまう。部室の鉄の扉さえ開けるのは勇気がいり、ほっとする居場所を見つけるのは簡単でなかった。
2年生になると、目標を失って病んでいる子は多く思えた。出逢い、失恋、残された膨大な時間の中で小さなひかりが見えてくるまで待つしかない。
3年生位から明るく元気になってきた、春とともにその時の暗さが雪どけした。
それでも学生相談室へ遊びに行った。新しい先生は医療職を定年退職されたふっくらとした明るい女性だった。だんだん世間話みたいになり、話しながら希望を感じていた。
学生さんが色々かける自由帳を相談室に置いたらどうかと提案したら、採用してくれた。
懐かしいけれどまだ昨日のことのよう。
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