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Redewendung des Tages 【今日のドイツ語慣用句】 Das geht aus wie das Hornberger Schießen

Das geht aus wie das Hornberger Schießen

意味:
拍子抜けの結果になる、結果を得られないまま終わる、竜頭蛇尾。
字義通りには「ホルンベルク市の(領主歓迎の祝砲の)発砲のように終わる」

例文:
Der großangelegte Versuch, die Olympischen Spiele zu modernisieren, ging aus wie das Hornberger Schießen.(訳例:オリンピックを現代的に改革する大規模な試みは拍子抜けの結果に終わった)

Erst laden sie vollmundig die gesamte Elite ein, versprechen einen glamourösen Abend und am Ende geht es aus, wie das Hornberger Schießen.(訳例:まず大口をたたいてエリート全員を招待し、魅力的な夕べとなることを約束するものの、結局、竜頭蛇尾で終わる)

解説:
この慣用句は、故事成語に分類されるもので、黒い森の小さな街、ホルンベルクでの祝砲にまつわる出来事に由来します。
ただ、実際にいつ何がどう起こったのかについては諸説があります。
Duden 11 Redewendungen に「最も楽しい説」として掲載されているのは、数百年前に領主の訪問を知らされたホルンベルク市民が祝砲の演習をし過ぎて火薬を切らせてしまい、本番に祝砲が撃てなかったので、代わりに祝砲の音をまねてみんなで叫んで領主を迎えた、というエピソードです。
別の説では、添付画像にあるように1564年にあったとされる出来事で、Herzog Christoph von Württemberg クリストフ・フォン・ヴュルッテンベルク公爵がホルンベルクを視察に来ると知らせを受けたホルンベルク市民が指示通りに歓迎の祝砲の準備をして待っていたところ、遠くから近づいてくる砂ぼこりが見えたために歓声をあげて祝砲を撃ったら、その砂ぼこりの正体は郵便馬車でした。同じことをしばらくして通った小売商人の小隊、さらに牛の群れにもやってしまい、ついに火薬がなくなったところへ本物の公爵の一行が到着した、というエピソードです。
これには商隊と牛の群れではなく、公爵の家来たちが先行隊としてやってきたというバージョンもあります。
本番に祝砲のものまねをしたところはDudenの話と同じです。
もう1つの説は1519年にあったとされる出来事で、ホルンベルクが隣町のVillingen フィリンゲンから攻撃を受けた際に、防衛のための大砲を撃ったものの早くも玉切れとなってしまったため、フィリンゲンからの侵略者たちは大砲が止むのを待ってから悠々とホルンベルクを占領した、というエピソードです。
小学館の独和大辞典にはこの故事成語の意味が「骨折り損のくたびれもうけに終る、苦労が水の泡になる」と記載されているのですが、このニュアンスに相当するような例文は見つけられませんでした。結末が望ましくないという点では同じですが、焦点は最初と最後の落差にあり、その間になされたかもしれない骨折りや苦労は問題とされません。

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