アンソロジーSNSの詩の風41

 ネットで読む。
詩といえば…。
通勤時間。
列車に横揺れされ、うとうとと心地よく、詩の言葉に触れ…、ほんのひととき、非日常を感じる。が、思いがけず誰かにつま先を踏み潰され。痛っ。と現実を踏み返される。

そんな状況で、
「この詩いいな」
「よかったな」
「この部分がきゅんときた」
と受け止めても、また次の新しい波が押しよせ、確かにあった感覚が遠くなってゆく。

 この詩集の取り組みは、いい詩を、ネットの波に流され、消されてしまわないようにと、
救いあげたことだと思う。
 紙に印字され、一冊の本になることにより、
ネットから放たたれた短命な命を、確実に生きていたことを証明させる。

「この詩、やはりよかった」

と詩の生命を受け継いでいく。
紙で書く詩人とネットで書く詩人をこの本は結びつけようという威力は素晴らしい。


*「詩と思想」2015年3月号掲載

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