スペイン人のクラスメートからヨーロピアンの生態を学ぶ

語学学校での勉強は順調に進んでいった。クラスを進級するテストに受かり上位のクラスに上がっていった。上位のクラスにはエルビーラというスペインのバルセロナ出身の女子がいた。そばかすだらけで茶色の目に長い巻き毛のブルネット。一見高校生くらいに見えてしまう19歳だった。スペインでは観光関係の専門学校に行った。観光の仕事につくには英語を話すことは必須で英語を学びに来ていた。

エルビーラとわたしは学校が終わると一緒に行動することが多くなった。バスに乗ってレストランやお店が立ち並ぶバークレーという大学町のダウンタウンに繰り出す。エルビーラは未成年だったからお酒は飲めなかったけど、安いランチやディナーを出す中華やタイ料理のお店によく行った。

中華料理屋では、わたし今日はライスにするわ、と言って白いご飯だけを注文しようとした。英語力のない私は、レストランではライスだけでの注文はしないということが言えなくて、2人分のメインディッシュを注文してその場を乗り越えた。彼女にとっては、ライスは一番やすくて注文しやすい食べ物だったのだと思う。

エルビーラは、私にとって初めてのヨーロッパ人の友達だった。アメリカ人とヨーロッパ人って同じ白人でもずいぶん違うんだなと思った。もちろんステレオタイプにものを見てはいけないとは思うけど。

ある日の午後、突然雨が降ってきて、彼女は言った。

やだ、雨が降ってきた。おととい髪を洗ったばかりなのに!

おととい??

私は毎日髪を洗うけど、といったら、自分は3日か4日に一度洗うと言った。

うわー毎日洗わないと気持ち悪くないのかな。

この後、ヨーロッパ人の友達が増えていき、私の髪洗い調査のサンプルは増えていった。結果的には、彼らは毎日髪を洗わないどころか、毎日シャワーも浴びないのだということを知った。それは私の現在の夫(アイルランド人)も含めて、高い確率で毎日シャワーは浴びない。もちろん毎日シャワーのヨーロッパ友もなかにはいるけれど。

そして同じ服を毎日着てもあまり気にしない。エルビーラも同じTシャツを続けて着ていることがあった。うちの夫も、指摘しなければ同じシャツを着てしまう。クロアチア人の友達(男子)はうちに泊まりにきて同じシャツを着続けていた。もちろん1泊2日の間シャワーは浴びなかった。イギリス人の友達(男子)はうちに泊まった3日間のあいだ、一度だけシャワーを浴びていた。

反対にアメリカ人の友達たちは、おうおうにして清潔だった。毎日シャワーを浴び、髪を洗い、朝と晩にきちんと歯磨きをする。もちろんフロスもかかさない人が多い。

お風呂文化の日本から来ている私は、ヨーロピアンの生態にはとても驚かされた。何年かたっていまの夫とであったときは、ヨーロピアンの典型としてなかなかシャワーを浴びない彼に驚くことはなかった。よいのかわるいのかよくわからないけれど。






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