プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本 から学ぶ「交渉」と「アサイン」
学ぼうと思ったきっかけ
私はプロジェクトマネージャーではありませんが、ひょんなことから数年前よりチームリーダーや、プレイヤー兼マネージャー(プレイングマネージャーとでも言うのでしょうか)を任せられることが増えていました。
しかしながら、これまでまったくマネジメントに関して勉強したことがなかったので、折角なら1冊読んでみようと、こちらを手に取ってみました。
本書では要件定義ではどうすべき、設計ではこうすべきといったノウハウも書いていますが、私が勉強になったのは「交渉」や「アサイン」についての考え方でした。以下に簡単に紹介します。
交渉について
交渉による調整は、マネージャーに最も重要なスキル
交渉とは、以下のようなお仕事のことを言います。
「ヒト・モノ・カネ」の全体バランスをQCDの観点で俯瞰して調整
立場の異なる人の異なる利害関係を調整するために必要なのが「交渉」
リーダーやマネージャーになったりすると、交渉しないでイエスマンであり続けるのは難しいことです。
しかしながら私は大の苦手…交渉せずにひたすらデリバリーを間に合わそうとするイエスマン気質があるせいで、何度も後悔をしました。
しかしながら、私と同じように交渉について難しく感じている方々は多いようで、本書でも以下のように書かれています。
交渉は精神的負荷が高い行為なので、実は苦手とするプロジェクトマネージャーは多い
交渉が難しい理由は、「上下関係(金を払う方が偉いという古い認識)」が拭い切れていないからに尽きるようです。
結局はここのメンタルブロックを突破して、「無理なことは素直に伝える」というのが、交渉で最も重要なお仕事なんだと思いました。
交渉の最重要マインドセット:無理なことは率直に伝える
相手が発注者でも上司でも、「無理です」と答えることがプロジェクトやメンバーを守ること=マネージャーの責任。
是々非々(よいことはよい、悪いことは悪い)で「あるべき進め方」を提示していく。
交渉における5つのポイント
そのほか、具体的に交渉で意識するポイントです。
ヒアリングの機会を定期的に設ける
同期/非同期コミュニケーションを交互に実施する
説明資料と議事録を文書化する
相談内容や決定事項は関係各所に共有する
フォーメーションを組んで交渉する
個人的に真新しい内容はありませんでしたが、やはり基本的なことが大切なんだと再認識できました。
アサインについて
交渉と同じくらい頭を悩まされるのが、タスクのアサインです。
本書で参考になったのは、「ジョブ型」のマインドの人を見極め、アサインするということです。
ジョブ型のマインドの人をアサインする
ジョブ型:タスク遂行のために、スキルや経験を身につけることがモチベーション
メンバーシップ型:企業に所属することがモチベーションで、ルーチンワークや安定にモチベーション
メンバーシップ型思考のメンバーのタスクが止まり、全体に大きな遅れが発生する原因になりやすい
メンバーシップ型の人がチームの癌になりやすいということは、大いに納得ができます。私が過去に所属していたプロジェクトを振り返っても、生産性の上がらない人はだいたいメンバーシップ型で、それをジョブ型の人がサポートしたり、場合によっては回収したりするという図を見てきました。
ではどうすればメンバーシップ型 or ジョブ型を見極めるのか?という点について、本書では「見積もりをさせること」を推奨しています。
見積もりでタスク遂行能力を見極める
タスクの見積もりをお願いすると、よく「やってみないとわからない」と回答するメンバーを見ませんか。これが「メンバーシップ型のサイン」です。
「やってみないとわからない」というスタンスのメンバーは、経験不足で遂行能力が低いか、責任回避型でタスクを取り組むマインドがない。
モチベーションが低いメンバーは上層部に即共有
トラブルが起こってから体制上の問題を報告すると、場当たり的に処理をされることが多く、アサイン変更など本質的な対応が行われない。
実際の現場では「やってみないとわからない」と言っただけでメンバーチェンジするなんてことはできませんが、報告が後手にまわってなかなかメンバーチェンジが実現しないとなると、苦しむのは現場です。
新規メンバー受入後は、「ジョブorメンバーシップ」を即時分類し、メンバーシップの場合は上層部に即共有を鉄則としたほうが良いと思いました。
おわりに
本書から得た教訓です。
「無理なものは無理」と言いましょう。
見積もりで「やってみないとわからない」というメンバーは要注意です。
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