「初雪だ。まさか君と見るのが今年初だなんて。」
「人生何があるか分かりませんね。」
少しの沈黙。
余計なことを喋ってしまった後悔。
甘ったるい香水の匂いが
今になって車内に充満する。
あ。香水のチョイス間違えちゃったな。
「ここまでで大丈夫です。ありがとうございます。」
「気をつけて帰ってね。おやすみ。」
緊張から解放したとともに
子どもっぽくなかったかなと
今までの数時間を振り返ってみる。
右脚に溢したカレーのシミは
漂白しても落ちなくて、
あのときの後悔と、
あのときの私の気持ちが、
白いデニムのシミみたいにずっと残った。