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母の日の贈り物は、「しこり」を見つけてもらったこと① (#2)

もうすぐ、母の日ですね。
私は母の日にあまり興味がないというか、プレゼントするのは好きなのだけど、自分がもらうことにはあまり意識がなかったのです。以前はさらりとしたもので「あ、ありがとね〜」みたいな。

でも、2023年は特別なものになりました。

2023年5月14日(日)母の日
今日は、息子が友達の家にお泊まりに行った。9歳の息子は、おちゃらけ者で賑やかな子なので、高齢で産んでしまった両親からは手にあまるエネルギーの持ち主である。
静かな時間が流れる休日が嬉しくて、どことなくホッとしていた。

そんな気持ちの余裕からか、珍しく娘とお風呂に入ろうということになり二人でお風呂に入った。

実は、前の日からなぜか左胸が痛い。

生理前の胸の張りとは違う、初めての感じに戸惑う。
とりあえず押してみたり、腕をあげて撫で回してみたり色々試してみた。

どうやら、乳首を押すと「つーん」と奥に響く痛みがある。痛みの線が胸の中を伝っているのがわかる。
数日前に近くの温泉に行ったから、毛穴からバイ菌が入ってしまってそれで中が炎症を起こしているのかな。そんな想像しながらお風呂に入った。

自分の異変に気になりながら、娘とたわいもない学校の話やアニメの話をした。
「なんか胸痛いんだよね〜」と言いながら腕を上げて胸の外側あたりを押すと何かある。小さな塊が手に触った。時間が止まった。

いや、待てよ。人間ドックで数年前にもしこりがある旨を伝えたことがあるが「乳腺炎の名残でしょう」と言われたし。

そんなわけない。
バイキンバイキン。
バイキンに決まってる。

娘に「ねー、ちょっと触ってみて」と言うと思春期の娘は素直に触ってくれ一言。

「ねー、これ間違いなくしこりだよ」

もしかして、違うでしょ、まさかね
なんて思っていた私が娘の言葉で現実に引き戻された。
明日、とにかくお医者さんに行ってみようと思った。

5月15日(月)
地元にある乳がん健診しかやっていないような乳腺科のクリニックに電話する。「混雑してますので、何時間待つかわかりませんけれどそれでもよろしければどうぞ」と不親切な応対だった。

私の不安はどんどん色が濃くなっていった。

クリニックでは、一年前に予約した患者が次々検査を受け、流れ作業のように次回一年後の検診予約を入れて帰って行った。

長い待ち時間の間、たまたま、乳がんを経験したことのある友人と今度の休日に遊びに行く約束の電話をしていた。
それも今思えば、何かの偶然なのか。

友人に私の症状と今病院の順番待ちをしていることを告げると明るい声で「とにかく受診してみるっきゃないからね!大丈夫!」と励ましてくれた。

その言葉で、なんとか逃げ出したいのを堪えることができた。

後から彼女に聞いた話だと、症状や年齢などかなり怪しいととても心配してくれていたようだ。

3時間以上待ってから順番が来た。
薄暗い個室で検査着に着替えても、これは何かの間違いで1時間後には
「もー!はやとちりだったわ〜笑」なんて思っているだろうと頭の片隅にまだ思っていた。

マンモグラフィーを撮った。

さっきまでの長時間の待ち時間とは裏腹に着替える間もなく、すぐに診察室に呼ばれた。

私よりもだいぶ若く見えるお洒落に余念のない感じの女医さんが、さらりと
「あ、これガンですね。#%◯α・・・」

もうその後の説明は、頭真っ白で何もわからない。

「ちょ、ちょっと待ってください。よくわからないです。」
これが私の精一杯。

「あ、そうですよね・・・。とにかく早く別の病院できちんとした細胞を取る検査をした方がいいと思いますので、予約入れましょう」

それから都内の大学病院へ紹介状を受け取った。

気のせいかもしれないが、受付の事務の人たちの対応が心なしか優しくなったように見えた。(つづく)

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