#國韻アフォリズム
外れた鍵は、盗まれた心の匂いがした。ガソリンのくすぐるような危険な代物が、歩いて俺を出迎えてくれる気がした。時代がたとえ俺を追い抜いていっても、背中が消えるまで諦めない。息がきれそうになったら、月が手を貸してくれるのだろうか。寒い空の色は決まって俺のお気に入りだけど、高すぎて買ったことはまだない。呼びかけられるその日まで、待っていることすら気づかないのだろう。ありきたりな昼過ぎのゆっくり流れる時が、俺にまとわりついて少年が笑う。みつけた鍵は土ぼこりが舞って、走る音がする影のあつまりだった。