夢と講談
特殊能力者になって敵と戦っている夢を見た。
イメージとしては、ドラマ『SPEC』みたいな。戸田恵梨香と加瀬亮の。
味方の能力者の一人に、銀色の折り紙(キャラメルの包み紙のような)を撒きながら、「昔むかし、あるところに…」と昔語りを始めると、周りの景色がその昔話の風景に変わって、話の中に入り込める力を持った女性がいる。その能力で敵を撒いて逃げる、という内容だった。
ちなみに、敵役はなぜか古田新太(笑)
先日、講談師の神田松之丞さんの講談を聴いていて、その夢を思い出した。
松之丞さん、今月、真打昇進と同時に襲名して今は『神田伯山(はくざん)』さん。
張り扇一本で、伯山さんが話し始めると、周りの景色がどんどんその時代、場所に変わっていく。眼前に映像が広がる、というよりも、その世界に入り込む、という感覚の方が近い。
すごい具現化能力。
そして、何よりすごいのは、その感覚を会場にいる何百人ものお客さんが共有している、ということ。
私だけじゃない。みんなが同じ世界に一緒にいる。
これ、文字にすると簡単だけど、演者の力量が顕著に現れる、ものすごく難しいことだと思う。
漫画『HANTER×HANTER』でいうなら、念能力を発動する対象が大勢になればなるほど、より多くの念が必要になるから、必然的にその能力者の力量がわかる、て感じ。
読んだことない人は全くピンとこない例え。ごめんなさい。
つまり、いっぺんに大勢の人を自分の世界に連れていくには、会場全体を自分の存在で包まないといけないから、すごくエネルギーを要するということ。
うーん、より分かりにくい!
とにかく生半可じゃできない。
ものすごい丹田力、腹力が必要だし、覚悟が違うんだと思う。
これをやるために来ました、これをやらなきゃこの世にいる意味がない!を存在そのもので表現している。
だからこそ、みんな魅きつけられる。
多少、年齢層は高いものの老いも若きも、男も女も、会場内の誰もが、伯山さんの一挙手一投足を息を飲んで見つめている姿は見ていて感動する。
実は、まだ3回しか生で聴いたことがないんだけど。
その体験をした帰り道、いつも感動と共になんだかウキウキしてしまう。
お祭りで夢中になって御輿を担ぐ人たちを見た後のような。
日常と非日常。ハレとケ。
普段抑え込んでいるものを解放した時の人々の輝いている顔。
伯山さんは、己の覚悟と張り扇一本で非日常をそこに生み出しているんだと思った。
もう、尊敬でしかない。
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