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1998年のクロノス③

すずかけ通りで

何となく

ただ何となく

そのボンヤリした気持ちとは別の頭の真ん中の方で私はノスタルジックな気分になっていたんだ。

思い出すこと忘れたいこと思い出せないこと忘れられないこと。

思い出はいつだって優しいフリをする。

時の死神は笑いながら切符を寄越す。

「お前はもう自由なのだ、その切符を無くさぬ限り何処へでも行くが良い。ただしお前が何処に居ようとお前の精神は此処から逃れられない」



あの日から何年が経ったろう。

二度と戻りたくない場所だった筈なのに此処に居る。

私は何を欲していると言うのか。

いや、取り戻そうとしているのか。


1つだけ分かる事…私はここで幾度も悔恨の日々を送ったという事。

いくら悔めどあの日には二度と戻れないのに…願わくば忘れてしまいたいのに。

この悔恨が晴れる日まで、私は時の死神と共にあの時に取り残される…私はあの場所に取り残される。

もし、奇特な人が居られたら…すずかけ通りのバス停に菜の花を置いてくれないか。

それが過去に生きねばならぬ私の存在証明になるのだから。




ふとフラッシュバックする高校時代、何も良いことなんかありゃしないのに思い出す

思い出す度に苦々しい気持ちになるんですけど…そのあとで懐かしい気持ちにもなりまして…なかなか面倒です、感情のやり場は何処なんだと。

色んな場所で当時を思い出す…それをごく個人的にまとめて創作してみました。

そして情けなかったあの頃の自分と別れる為に…当時の卑屈屋ヨシカズに捧げます。

あの頃の私よ、また会おう。

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