「他のひとにできていることが、なぜ自分にはできないんだろう」
いつもはすっかり忘れていることが、ほんの些細なきっかけで心のなかに押し寄せてくる夜がある。楽しかった飲み会の帰りに信号待ちをしながら。友人の近況報告を聞いたあとのお風呂のなかで。待てど暮らせどやってこないバスを見限って歩く道の途中で。
「どうして他のひとにできていることが、自分にはできないんだろう?」
この気持ちにとりつかれたときは、静かにやり過ごすしかないことを知っている。慌てず、騒がず。けれど初期症状のうちに対処を誤ると、じわじわと心をむしばみはじめる。
「どうして他のひとにできていることが、自分にはできないんだろう?」
わたしは、人との会話のなかで空気を読むことができない。だから何度もとんちんかんなことを言って誰かを困らせてきた。困らせたという自覚もないまま。
わたしは、人の言葉の裏側を読むこともできない。だから額面通りに受け取ってしまって人間関係がうまくいかなかったこともたくさんある。「こうしてほしい」とはっきり言われないと分からないのは、何も男性だけじゃない。
わたしは、ひとつのことを続けることができない。だからいまだに仕事もプライベートも興味があるものに次々に手をだしてとっちらかってしまう。何かひとつを極める、というスタイルのひとを見るととても羨ましく思う。
わたしは、子どもを持つことが100%いいことだとは思えない。だから「いつかは」と思いつつこの年齢まできてしまった。なんでみんな結婚して子どもを産むってことが、一直線なんだろう?
わたしは、自分の心が欲している未来と、社会に思わされている「あるべき未来」の区別がつかない。だからときどき無理矢理ひとりにならないと心のバランスがとれない。
◆◆◆
「自分には何かが欠けているんだろうか」と不安な気持ちになった夜は、ひとつひとつ数えはじめる。わたしにできて、他のひとにはできないこと。自分らしく生きるためのかけら。
空気が読めないから、自由に振る舞える。
言外のメッセージが読めないから、人にもそれを求めない。
いろんなことに興味を持つから、人にはできない発想も湧いてくる。
この年齢まで迷い続けたから、子どもを持たない人生を選んだひとの選択を心から尊重できる。
ときどきひとりにならないと苦しくなるから、同じようにひとりになりたいひとの苦悩がわかる。ワガママだと誤解されても、そうではないのだと。
◆◆◆
「他のひとにできていることが、なぜ自分にはできないのだろう」と思う気持ちの裏には、必ず、そんな自分だからこそできることが隠れている。だから、慌てず騒がず、そのひとつひとつを数えて眠る。年に1-2度ひく風邪のようなものだから、心と体の栄養をとってたくさん眠れば、次の日にはたいてい少し元気になっている。
そうやって、毎日を生きている。
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