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きみのお役に立てるなら

20
たくさんの方に読んでいただいた文章のなかから20選です。きみのお役に、立てたらいいな。
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#毎日更新

才能のありか、才能のしるし

高潔さを学びたくて、 不正のなかに身を置き 愛を学びたくて、 憎しみのなかに身を置き 平和を学びたくて、 争いのなかに身を置き 豊かさを学びたくて、 貧しさのなかに身を置く 傷ついた場所、 それがあなたの才能のありか 気づきの多さ、 それがあなたの才能のしるし だからどうか見失わないで 地に足をつけ、 空の星を見あげ、 風を待って、 進むんだ そこがあなたの才能のありか それがあなたの才能のしるし #日記 #詩 #エッセイ #毎日更新

「あれ、どうしてこの娘、こんな服着てるんだろう」

(前にも書いたが)ときどき、自分を天井くらいの視点で見る遊びをしている。すると、いろんな言葉が浮かんでくる。 最初おどろいたのは、自然と「この娘(このこ、※自分のこと)がんばってるなぁ」と浮かんできたこと。普段は自分が何かにがんばってるつもりまるでないのに。 「この娘、まじめなんだなぁ」と浮かんできたこともある。なんていうか、「子を思う親」みたいな視点から、自分を見るようになってくるのだ。 あるときは、「うーん、この娘、なんでこんな服着てるんだろう?」と浮かんできた。い

天使のしわざ

今夜7時半から8時頃にかけて、 調子が悪くて横になっていたときのこと 突然わたしの頬を小さな掌が包んで、 顔中にたくさんのキスが降ってきた 目を開けると見知った顔がにっこり見下ろしていて、 そのままごろんと寄り添い眠りに着いた あれは、 天使のしわざだった気もするし、 見知った顔の2歳児のしわざだった気もするし、 そもそもその見分けがわたしにはつかない #日記 #詩 #育児 #子育て #毎日更新

母とわたしと、わたしと娘

実家から母が来ていた。 こちらでも買えるような食材をスーツケースに詰め込んで、子どもへの誕生日プレゼントを携えて。 持ってきた野菜であっという間にいつもの煮物をつくって、 はしゃぐ子どもをあやしながら遊んで、 わたしたちと食卓を囲んで、 そして帰っていった。 母は言う。 昔はもっと何かしなきゃ、働かなきゃ、と焦っていたけれど、 いまはようやく自分の調子を見ながらのんびり過ごすことができるようになった、と。 母は言う。 美香の言葉がきっかけで、そうか、そういう考えか

さみしさの正体

毎週月曜日の10時から12時、お掃除のMさんに来ていただいている。水回りを中心に、家中ピカピカにしてもらうことで、どれだけ精神的余裕が保てていることか。カタチあるものが残るわけではないけれど、「家事代行サービスに申し込んだこと」が今年いちばんのいい買い物だったとさえ思う。 ◇◇◇ そんな蜜月だったMさんと我が家との関係だが、彼女の事情により1月いっぱいで唐突に終わりを迎えることになった。 「わたしもこちらに来られなくなってしまうのはさみしいんですが...○ちゃん(うちの

わたしもまた、誰かをしあわせにした日々があったのだ

いまではときどき、になったけれど、 いっとき子どもが可愛すぎて毎日泣きそうになったり実際に泣いたりして過ごしていた そして思った あぁ、この子と同じように幼い頃のわたしもまた、 こんなにも母をしあわせにしていたのだ だったら、もう、いいんだな 誰かの役に立つとか立たないとか、 何かができるとかできないとか、 そんなのもともと関係なかったんだ ただ生きてそこにいるだけで、 誰かをこんなにもしあわせにしたことがあったなら、 わたしの人生はそれだけでもう、

大人っていいよ、ケーキだって全部頼める

大人って自由でいいよね、と思うことがある。それはたとえば、夜中過ぎまで起きていたって誰にも怒られないとき(でも翌朝、しっかり後悔する)。それはたとえば、買ったことを忘れていたアイスクリームを冷凍庫に見つけて朝から堂々と食べるとき。 夫の誕生日のため、ケーキを予約しようと洋菓子店に行った時のことだ。ガラスケースのなかに並んだ色とりどりのケーキたち−溢れ落ちそうなフルーツがキラキラと輝くタルト、真っ赤なイチゴが乗ったオーソドックスなショートケーキ、季節の定番モンブラン、そしてツ

"つらさ"まで、比較しないで

つらい、と弱音を吐いているひとに対して、おそらくは善意で、もしくは励ますつもりで「もっと大変なひとだっているんだから」といった類のことを言うひとがいる。「昔はもっと大変だった」「世界にはもっと大変なひとがいる」etc, etc... 確かにそれで奮起するタイプのひともいるんだろうが、わたしは単に「救われねーな」と思ってしまう。救われねーな、そのひとのつらさはそのひとだけのものであって、他のひとはいま関係ないのに。 ◇◇◇ 以前、親が認知症になって大変だ、という知人の話を聞

出会いはナンパ

「なんかこのひと気になる」と、勘が働くときがある。近所のカフェで、バーで、その存在がくっきり見えるというか、纏っている空気感が他のひととは違って見えるとき。かなり躊躇するが、どうしても気になるときは声をかける。はっきり言ってナンパである。 昨日は、そんな「出会いはナンパ」な方−といっても、相手は女性です−のバースデーのお祝いにお邪魔した。乾杯し、フランス産のチーズとテリーヌを堪能し、自家製アンチョビと野菜のパスタをたらふく平らげ、持参したチョコレートケーキまで遠慮もせずペロ

バスのなかで泣いてしまった

博多駅近くのクリニックからの帰り、ぼんやりと考え事をしていたわたしはその「ぼんやり」のきっかけとなった先生からのひとことを思い出していた。 「手術して、ちょうど10年になるね」 21歳で甲状腺機能亢進症(いわゆるバセドウ病)になったわたしは、数年間の投薬を経て、肥大した甲状腺を切り取る手術をした。そうか、あれ、10年前だったのか。確かにまだ20代だったな。その後も3ヶ月から6ヶ月おきに血液検査のためにこのクリニックに通っているのだから、つまりはこの先生とも10年以上の付き