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離れて暮らす親の介護をどうするか問題(6)〜療養型病院探し〜

現在、父が入院している病院は普通の病院で、検査のための入院だった。しかし、肺炎も治った今、いつまでもそこにい続けるわけにはいかず、転院先を探さなければならない。PSPは治る病気ではないので、進行していく症状に対応しつつ、寝たきりにならないようリハビリをしてくれる病院は療養型と呼ばれるらしく、現在の病院から3カ所ほど紹介してもらった。多少の違いはあるものの、どこも看取りまでをしてくれるらしい。おそらく、もう自宅に戻ることはできない。それを父がどこまで理解しているのかわからない。なんなら、どうして転院するのかもわかっていない様子もある。

そもそも、入院した時は、2週間程度の検査入院のつもりだったから、当然そのあとは自宅に戻れると思っていただろう。私たち家族も、在宅介護をするつもりで介護保険について調べたりしていた。入院後、すっかり体力がなくなって、椅子から立てなくなったり、歩けなくなって帰ってきたらどうしよう、と母が戦慄していたのを思い出す。それは私たち子どもたちの一番恐れていることでもあった。3人いる子どもたちのうち、だれ一人として実家に通い母のサポートができない。私は海外、弟一人は離れた県で単身赴任、もう一人は同じエリアにいるものの超激務で日中は電話すらままならない。そんな状況で在宅介護を母が一人ですることになるのかと思うと不安しかなかった。いわゆる老人ホームは空きがあるとは限らず、すぐ入れないかもしれない。そう聞いていたので、父のケアが可能な療養型病院に入れると聞いて、私はほっとしていた。

転院はまだ先だけれど、転院先を決めておかないといけないので、すすめられた病院3つを見学に行くことになった。本人はとても外出できる状態ではないので母が代理で見学。一人では不安、そして車でないと行きづらいところにある病院を回るのに、激務の弟になんとか休みを取ってもらい、1日で3カ所を回れるよう見学予約をとりつけた。ずっとフルタイムで仕事をしていた母は、弟がこの忙しい時期に有休をとるのがどれだけ大変なことかよくわかるようで、ひたすら申し訳ないと言う。平日でも時間を作りやすい仕事で、車も運転できる私がそばにいれば……と思うと歯がゆい。けど、海を越えた国にいるのでは仕方がないので、できることをする。毎週末、家族でLINE会議をするのに加え、平日に電話を入れ、LINE会議ではしないような母の話に耳を傾ける。孫のちょっと楽しい話を聞かせたり。そして、超真面目な母が、病院見学の前に見ておくべきポイントを書き出してリストを作りたい、というので、ネットで調べて父に当てはまりそうな項目に注意を払った「病院見学の際のポイント」なる文書を作成、同行してくれる弟とも共有した。

できれば、各病院のHPをチェックして比較したエクセルシートでも作ってあげたかったけれど、時間切れ。母は弟と病院の見学に行くことになった。


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