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ヤギの食事、離島スタイル

 とにかく何の準備も無く、突然ヤギが我が家にやって来たんです。どうせ直ぐに別れが来るのだから、最初は飼育に積極的ではありませでした。餌は庭に生えている草、木、棟梁が取ってくる木の枝葉だなぁ、とぼんやり眺めている感じ。それでも情が湧いてしまったら、私も餌の事気になってくるんです。
 どうも1番好きなのは桑の木、ご存知の通り、葉がお蚕さんの餌になる木で、子どものころ口の周りや手が濃い紫色に染まる、粒々がより集まった実、マルベリーを食べた事を遠い記憶に思い出しました。それ以外は分かりません。もともと植物の名前に疎いのに、離島の植物なんて全く分かりません。知識がないものだから、もしもヤギにとって毒の植物を食べさせしまったら、、、この離島には獣医はいません。更にヤギを食べる文化があります。棟梁もこういうのです、
「もしも病気や怪我したらその時は食べるよ〰️。」と。
だから、病気や大怪我から死守しなくちゃなんです、私としては。
 当時私が知る限りで確実にヤギが食べて大丈夫な植物しかあげないとなると、初期の頃はそれはもう、たったの2、3種類。無知にも程があるのですが。
この離島は世界中のダイバーがやってくる程の海を誇り、移動中に車窓からやさしいエメラルドグリーンの海をふと眺めらます。でもミー子が来てからは、海よりも草葉!どこにこの貴重な2、3種が生えているかに目を凝らし、せっかくのロケーションが眼中に入ってきません。
 ミー子を飼い始めた時に島人から言われました。
「草刈り人生の始まりだね。」って。
最初は『?』でしたが、付き合っていくうちに、なるほど〰️と。ヤギは満腹中枢が壊れてるのでしょうか?1日の半分以上を食べて消化する事に費やしてます。それ以外にする事無いのか!?という感じです。
 ところで、この島にはヤギなど乳用生物について資格を持ち、乳製品の工場を立ち上げ管理できるという方がいらっしゃいます。その方からすると、本当は乾燥飼料も与えてあげた方が良いとか?
でもこの島の緑の生命力は半端なく、どのご家庭にもエンジン式の草刈機があり、数ヶ月に1度は刈り込まないとあっという間に庭が草に埋もれてしまいます。冬は勢いが弱くなるものの、緑が無くなる事はまずありません。ヤギからしたら年中餌だらけなのだから、わざわざ他所からお金を使って餌持って来なくても良いでしょ〰️ミー子だって生葉の方が食いつき良いみたいだし〰️という事で、家の庭に限らず、他所の庭木を勝手に刈り込む枝葉ドロボーみたいなことしてるんです。許可を得たり、得なかったり。おそらく本音としては、刈ってください、持っていってくださいというお家の方が多いはず。でも刈ってくださいと言われる島の人はまずいません。
「ヤギの餌にうちの木を刈ったらいいさ〰️。」と大先輩方は言われます。いやいや、本来はあなたがする事なのに何を恩着せがましい事言ってるの〰️!?と思うのだけれど、そんなちょっと歪んだご厚意にもすがりたい程のヤギの食欲。

草刈りが大変過ぎるから、勝手に食べなさいという事で、散歩に連れ出して街路樹を食べさせてしまったり。本当はダメなんだろうなぁと思いつつも、この島のまぁ、いっかぁというゆるさに甘えさせていただいちゃってます。
そんな光景を見て
「ハイジー‼️」と島の先輩から声をかけてもらえたり。私はどちらかというと、ペーターのキャラかな。さすがに散歩中に寝ることは出来なくて、ミー子のお尻を追っかけてポロポロ落とすうんこを掃き集めるのでした。

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