見出し画像

コント メイド喫茶に行ったら

俺はメイド喫茶に行った。

「おかえりなさいませ。御主人様」
メイド姿の女の子が俺に話しかける。

「えっ? 俺。入店初めてだけど?」
俺は戸惑う。

「いえっ! そうじゃなくて! 全てのお客様にそう言ってるんです」
メイドが言う。

「あっそうか。なるほど。そういう設定ね。俺も演じたらいいのね」

「はい。ではもう一度入店からお願いします!」
メイドはもう一度入店するように俺に伝えた。

俺はもう一度入店した。

「おかえりなさいませ御主人様!」

「なんだ! その態度は! 御主人様が帰ったんだから三つ指立てて出迎えんか! お前メイドのクセにそんなことも出来んのか!」
俺は精一杯御主人様を演じる。

「えっ?……」
メイドはショックを受けている。

「体ばっかり成長しおって! お仕置きしてやるから! 後でワシの書斎に来い!……あれ? これが御主人様だよね?」

「あー普通にお客様として来てもらって良いですか?」
メイドは急に冷めた口調になる。

「あ……はい」
俺はテンションが下がる。

「あのもう一度入店しても良いですか?」
俺はメイドに提案する。

「はい」

俺は再度入店した。

「いらっしゃいませ! 御主人様」

「ん!」
俺は持っていたカバンをメイドに押し付ける。

「えっ?」
訝しげにメイドは俺を見てカバンを受けとる。

「ん!」
俺は靴を指差す。もちろん靴を脱がせてもらうためだ。

「えっ? なんですか? それ」

「んん!」
俺はメイドに背中を見せて上着を脱がせるように言う。

「お前それ昭和の御主人様だろ! 舐めてんのか!」
メイドが俺にカバンを投げつけて怒る。

「お前今どきそれやったら女性差別どころじゃ済まないぞ!」
メイドはカンカンだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?