「CREって何?」と思っている人に、CREの導入を勧めたい
私事ではありますが、
開発ディレクターとしてCREチームに配属されてから、
早いもので半年がたちました。
配属前は「CREってまじで何?」という感じだった私ですが、
この半年間を経て、「CREって何だろうね~こういうことやってるんだけどね~」くらいの感じになってきました(伝わらない文章でごめんなさい)。
ざっくり言うと、
「CREなんもわからん」→「CRE、完全に理解した」→「CREチョットデキル」
の「完全に理解した」と「チョットデキル」の間にいる感じです。
さて、半年も時間を費やして、なんで「CREとはこういうものだ!」と
断言できないのかというと、ずばり
「一般的な開発チームとは毛色ややっていることが大きく異なっていて、つかみどころがない感じがする」からです。
とはいえ、私が所属しているCREチームについては「こういうものだー!」と言えそうな部分も出てきたので、自分の見解を入れつつ、CREの解説をしていこうと思います。
「CREチームを自社組織に取り入れたい」
「CREチームに配属されることになったんだけど、何もわからなすぎる」
そんな方の参考になれば幸いです。
(別で「CREチームに開発ディレクター? そんなのあり?」を書きたいと思ってます。CREの存在感を高めたい方、CREと他チームの連携を強めて、顧客のジョブに寄り添った開発を行いたい、という方の参考になるかも?)
CREの定義
この記事にたどり着いた方は、既にGoogle の新しい専門職 : CRE が必要な理由をお読みになっていてご存じかもしれませんね。
CREは、2016年にGoogleが新たに誕生させた専門職で、
Customer Reliability Engineering(CRE : 顧客信頼性エンジニアリング)の釈生です。
Googleは、CREのミッションについて、こう述べています。
ちょっと何を言っているのか分かりづらいですね。
「運用に関して運命共同体となり」ってどういうこと?
「アプリケーションに対するお客様の管理権限を高め」ってどういうこと?
文学的表現ナンモワカラン・・・となりますね。私はなりました。
さらにGoogle の新しい専門職 : CRE が必要な理由を読み進めていくと、こんな表現があります。
サービス側がお客様に提供しているアプリケーションって、お客様からするとブラックボックスであることが大半なんですね。
最近世間をにぎわせているChatGPTも、「なんだかすごいことができているのは分かる。けれども、自分が持っている機密情報をChatGPTに入れたら、情報漏洩になってしまわないかが不安だな・・・」と感じたりしませんでしたか?
「あまり変なことをしなければ、アプリケーションもまあ大丈夫ですよ」
そうは言われてても、「変なこと」が何を指すのか分からないし・・・
自分が行った操作が実は「変なこと」だったのかもしれなくて、そのせいで最近アプリケーションの調子がおかしい気がしている・・・
な~~~んてこともありますよね。
私が携わっているサービスは、比較的そう言うのが多い気がします。
「最近挙動がおかしいんだけど、誰かが不正にアクセスして捜査しているなんてことはない?」という問い合わせも来たりします。
※調査していて、実際に誰かが不正にアクセスしたという事例に出会ったことはないです。
要するに、マニュアルを読んでもわからない、コンサルタントに聞いてもわからない、「でもなんか変!!!」という不安に出会ったときに、
「これはね、こういう操作をしたからこうなっていてね・・・」
と、ブラックボックスの中身をちょっとだけ教えてくれる人。それがCREといったところでしょうか。
「なんだかよく分からない。だから、ついうっかりデータを消したり漏洩したりしないか不安で、導入前にやりたかったことがほとんどできていない。」という不安をなくしていくのがCREであると私は思っています。
さてここで、「でもそれってCSがやることでしょ?」と思った人はいませんか? いますよね?
先ほどの事例を思い浮かべてみましょうか。
これ、どのように対処するのがいいでしょうか?
恐らくは、この方のアカウントの操作履歴を確認しますよね。
いつどんな操作を行ったか、それはどの端末から、どのIPアドレスを使用して?
この辺を調べますよね。
そしてもうお分かりかと思いますが、これはエンジニアの技術がないと確認できない内容です。むろん、CSが対応できるお問い合わせを増やすために、操作ログ確認ツールみたいなものを用意しているサービスであれば別ですが・・・・。
ですので、さきほどの
に少し付け加えるとすれば、
「エンジニアの技術なしに解決できない顧客の不安を解消するのがCRE」といった感じでしょうか。
私たちのCREがやっていること
なんだか概念的な話ばかりでは分かりづらいと思うので、
ここで私が所属しているCREチームの行っていることを紹介していこうと思います。
私の所属しているCREチームは、
カスタマーサポートと連携し、技術で ショップオーナーの不安を払しょくするチーム
をチームのミッションとして掲げています。
やっていることは、大きく分けると4個です。
本当は他にもいろいろやっているのですが、それを書くと「CREって結局何?」となりそうなので、ここでは割愛します。
お問い合わせに回答するための調査
お問い合わせで判明した不具合の修正
お問い合わせの内容を開発チームへフィードバック
CSがお問い合わせ対応で使用するツールの改善
それでは、それぞれの内容を見ていきましょう。
お問い合わせに回答するための調査
今のところ、これが私たちの仕事の大半を占めていると言っても過言ではありません。営業日の半分以上を費やしているかな。
お客様のお問い合わせは、速攻でCREにやってくるのではありません。
たいてい、以下のようなフローで私たちの手元にやってきます。
ユーザーが、お問い合わせフォームを利用して問い合わせてくる。
CSが、問い合わせの内容を確認する。必要なものは調査。
CSの持っている権限では、問い合わせに回答するために必要な情報を得られない。CREに「ここの情報がないと回答できないので、状況を調べてほしい」と依頼が来る。
こうしてやってきたお問い合わせについて、既に過去に事例のあるものであれば、「この時のやり方を参考にすれば、これは回答できそうだね」となります。過去に事例のないものであれば、「問題が発生する可能性があるのはこの箇所とこの箇所。まずはどちらが原因か、問題を切り分けましょう」と相談して進めることになります。
お問い合わせで判明した不具合の修正
お問い合わせの調査をしているうちに、ユーザーの困っていることの原因が、アプリケーションの不具合や、開発時の考慮漏れに起因することが判明するケースもあります。
そうした場合は、不具合の内容を調査して修正方針を立て、修正を行います。
お問い合わせの内容を開発チームへフィードバック
CREは、新機能開発や機能改善で参考となるようなユーザーの要望であるとも受け取れる「お問い合わせ」と日々向き合っているチームです。
つまり、ユーザー要望に一番詳しいエンジニアたちであると言っても過言ではない・・・どうなんだろう、わかりません。
ただ、日々要望と向き合っているだけではらちが明かない(CREだけでは、ユーザー要望に応える機能開発をすべて対応することは不可能)ので、当然他のチームとの連携が必要になります。
「こんな機能を欲しがっている人が多いよ」
「この機能のここが使いづらいと感じる人が多いみたい。こんな風に改善してほしいという声をよく聞きます」
こういうフィードバックを、不定期で行っています。
CSがお問い合わせ対応で使用するツールの改善
これもCREの仕事です。
お問い合わせ対応ツールが改善されることで、CSの業務効率が上がります。
また、よく問い合わせが来るものについては、CREなしでも対応できるように新しい機能を作り、「この機能を使えば、この問い合わせに対応できるよ!」とすることもあります。
こうすることで、CSの業務効率が上がり、CREが対応する問い合わせの件数も減ります。問い合わせの件数が減ると、発見した大きな問題を解決する時間を取れるようになるため、いろいろな人が美味しい思いをします。
CREの目的
CREの目的はずばり、
ユーザーがアプリケーションを利用するなかで遭遇したお困りごとを、エンジニアの技術で解決すること。
これは何も、ログを調査して疑問に答えて・・・ということだけを指すわけではありません。
お困りごとの発生原因を突き止め、そのお困りごとにもう二度とユーザーが遭遇しないようにすることも、CREの活動目的となります。
CREと開発チームの関係
「エンジニアの調査が必要なお問い合わせ対応だったら、開発チームがやってもいいんじゃ?」
そう思う方もいるでしょう。
けれど、おそらくこの記事にたどり着いた方は、
「開発チームが問い合わせ対応をすると、開発がスケジュール通りに進まなくなるんだよな・・・」
というお悩みを抱えているのでは?
CREは、ユーザーのお困りごとだけでなく、開発チームのお悩みも解決しうる存在なのです。
正直なところ、
「この問い合わせの内容、開発チームのほうが詳しい人いるだろうし、開発チームに対応してもらおうか」
となることはしばしばあります。
が、基本的には、CREがお問い合わせに対応しています。
そうすると、開発チームは開発にある程度集中できるようになります。
「エンジニアなしに対応できないお問い合わせがそこそこ来ていて、開発のスケジュールに影響でまくりなんだよな・・・」
そんな方はぜひ、CREの導入をご検討ください!
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