臓器移植の意思表明について

デンマークでは、現在、死後に臓器を提供したい場合、あらかじめ登録しておく必要がある(オプトイン)。しかし、政府では、臓器を提供したくない場合にのみ届出を出し、提供を前提にしよう (オプトアウト)という議論が進んでいることを、デンマーク人の友達から聞いた。彼女によると、臓器を提供しようと思っていても、手続きを忘れていたり、手続きをする前に死んでしまったりして、臓器提供をしそびれることが起こりうるが、臓器を絶対に提供したくなかったら、早めに手続きをするだろうとのことだった。

 https://www.dr.dk/nyheder/indland/regeringen-vil-goere-organdonation-automatisk
 記事によると、ヨーロッパの中でオプトインであるのは、デンマーク、ドイツ、ルーマニア、リトアニア、アイルランドの5カ国のみで、あとは全ての国でオプトアウトが施行されているようだ。
 私は、ヨーロッパの多くの国で、臓器移植が当たり前のこととして捉えられているということに衝撃を覚えた。勝手なイメージで、ヨーロッパの国は土葬する文化であるため、死体は綺麗に残しておきたいと考えるのではと思っていた。
 日本では、健康保険証、運転免許証、マイナンバーカードに、臓器提供の意思表示欄があるが、どれくらいの人が記入をしているのだろうか。日本では、本人の意思表示に加え、家族の承諾が必要となっており、提供のハードルが少し高くなっているようだ。(参照:NHK https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1615.html (18/02/2024閲覧))

 政治の場で行われている議論についても、臓器移植についても、友達とほとんど話をしたことがなかったため、このような話題に突然なって、少しびっくりしたけれども、なんだかデンマーク、あるいはヨーロッパらしい気がした。そして、彼女はニュースとして触れるだけではなく自分の意見を持っていた。

 臓器移植について、文化や価値観の違いからさまざまな意見や考えがあるだろうし、一人一人の意思が尊重されるべきである。死んだ後に、臓器を誰かに移植するという選択肢があることを知った上で、それぞれの考えに基づいた決定を決められるようにするためには、最適な制度を取り入れるのが一番だ。日本では、なかなか家族で臓器移植について話すことはないような気がする。縁起でもないと、避けられそうだ。臓器移植について学び、意思を示す機会を学校教育などの中で、設けると良いのではないかと思う。

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