BASEを中心に盛り上がる「オンチェーンカルチャー」とは?
米国の大手取引所「Coinbase」が開発したL2チェーン「BASE」を中心に、活発化しているオンチェーンカルチャーについて紹介します。
BASEの特徴と活性化の背景
BASEという仮想通貨は存在せず、BASE上のEthereum、ステーブルコインなど変換済みの通貨が流通しています。とにかくガス代を安くやりとりできるネットワークになんです。3月のイーサリアムアップデートにより、さらにガス代が安価となり活性化が加速しています。
① アーティスト・XCopy氏のハエNFT
有名クリプトアーティストのXCOPY氏は、3月にBASE上で低価格のオープンエディションNFTを販売しました。24時間限定・誰でも何個でも購入できるという方式で、販売数はなんと100万体を突破しました。
Ethereumでは、低価格NFT販売の際、ガス代が本体価格よりも高くなってしまうという課題がありましたが、BASEでは数円程度のガス代で実現することができたのです。XCOPY氏のような高級路線を貫いてきたアーティストがBASEでの発行を認めたことも話題になりました。その後も、Jack Butcher氏など、著名なアーティストがオープンエディションNFTを発行しています。
興味深い点として、XCOPY氏のオジリナル作品はcc0ライセンスで公開されており権利放棄されています。ハエの二次創作作品NFTが続々と発行され、タイムラインを埋め尽くしました。さらに、ファンが勝手に作成したプログラムで、ハエNFTをBURNして仮想通貨に変換、DeFiで取引できるようにする仕組みが登場するなど、まさにライトに群がる「ハエの群れ」のような状況となりました。XCOPY氏はここまで計算してのハエというモチーフだったのでしょうか?
② 感染して増殖するNFT「Kudzu on Base」
4月20日にローンチされたNFT「Kudzu」は、人から送ってもらうことで増殖していくというユニークなコンセプトのNFTです。現在、発行数は2万を超え、活発に広がり続けています。下記の図で、ホルダーの分布をみることができます。
アドレスを指定し送付すると、相手にKudzuが届く
自分のwalletにもKudzuが残る
wallet内に2つ以上のKudzuを持つことはできません
このプロジェクトは、2021年にEthereum上で展開されたものですが、当時863体しか発行されてませんでした。BASEで再発行したところ、2日で20倍以上に増殖したのです。
③オンチェーン活動の促進
こちらはwarpcastで人気のPFP-NFTコレクション「degentleman」
4月にローンチされ、0.1ETH✕10000体が即完売しました。 このコレクションでは、「POTION」NFTを消費することで、絵柄を変化させることができます。
注目すべきは、このPOTIONの利用率です。発行から1週間で10,000個のうち、6,000個以上が消費されました。POTIONを使用する効果は、いまのところ絵柄が変わるだけです。これは、Ethereum上ではガス代が高いため実現できなかったレベルの利用率です。
他のプロジェクトでも採用されている「着せ替えができる」「絵柄を替えられる」などのNFTならではの遊びが、BASEであれば多く使われるかもしれません。
④オンチェーン投票
3月16日、CoinbaseはNFTをMINTすることで投票する企画を実施しました。この企画では、165,000枚のNFTがMINTされ、ユニークホルダー数が100,000人に達しました。
これは「コラボパッケージの水を販売するから、どちらのデザインがいいか選んでね!」というもの。ユーザーは赤/青どちらかのNFTをMINTすることで1票となります。ネットでの投票は連続クリックや複垢など不正がおこりやすかったですが、少なくともこの施策ではNFTのMINTによってトランザクションが発生しています。エアドロップ等の特典を期待するユーザーも多かったのではないかと思いますが、このときNFTのMINTにかかるガス代は0.01ドル程度となり、気軽に投票に参加することができました。
他にも、最近、NFTマーケットプレイス「ZORA」でフリーミントをおこなうクリエイターさんも増えています。ガス代とマケプレ手数料で3ドル程度、クリエイターへの分配もあるため「いいね!」「みたよ!」の代わりにNFTをMINTするという習慣が生まれはじめています。
以上、BASEを中心に盛り上がりつつあり、オンチェーンカルチャーを紹介しました。さまざまな行為を、比較的、気軽にオンチェーンに刻んでいくという文化は「儲からないけど意味がある」という、次のクリプトの使い道のひとつになっていくかもしれません。
もちろんガス代が安いチェーンというのは、目新しいものではなくSOLANAやtezosなど旧来のチェーンでも実現できるものでした。しかし、EthereumのL2ということで一部有名クリエイターやクリプトOGが認めて使いはじめるようになったのは、注目すべきことだと思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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