大学教員の「裁量労働制」って?:◯◯先生へのメッセージ

○○先生

昨晩,「裁量労働制」のお話をさせていただきました。
この働き方を正しく理解しておくことが,大学教員としての成否を分けます。

大学教員は,正確には,「専門業務型裁量労働制」で働いています。
次のリストが専門業務の種類です。
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/senmon/index.html
我々が該当するのは,(12)です。
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(12) 学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)
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「主として研究に従事する」ため,「研究重点型裁量労働制」と呼ばれることもあります。

(12)のリンク先に記載されているとおり,
労働時間の5割以上を研究に充当することが規定されています。
ここが重要です。
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/senmon/a12.html
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「主として研究に従事する」とは、業務の中心はあくまで研究の業務であることをいうものであり、具体的には、研究の業務のほかに講義等の授業の業務に従事する場合に、その時間が、多くとも、1週の所定労働時間又は法定労働時間のうち短いものについて、そのおおむね5割に満たない程度であることをいうものであること。
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大学教員の多くは,この制度を十分に理解しておらず,
「仮に職場に5分しかいなくとも,一日働いたことになる」と豪語する方もおられます。
確かにその考え方は可能ですが,ご自身の健康のため,勤務時間を自分で管理するとともに,法令で「研究で5割以上使う」ことが定められている点を肝に据えておくことが重要です。

私のまわりをみていても,授業とゼミしかしていない方が多く見受けられます。ただ,そういう方は研究の業績がないため,准教授や教授に昇進できません。研究で5割以上を軸に,日々を積み重ねていくことが大学教員の成否を分けます。

まずは,昇進に必要な条件を示した規定やガイドラインが大学・学部にあるかと思いますので,准教授や教授になるために,どのような条件を満たす必要があるのかを確認されるとよいでしょう。

なお,今後基準が厳しくなっていくと思われますので,個人的には次の基準をお持ちになるとよいと思います。
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・国際研究誌(Impact Factorなど指標がある)に論文が掲載されている。
・全国規模の学会の研究雑誌に査読を経て論文が掲載されている。
・書籍の一部は,論文として望ましいとはいえない。
・商業雑誌の原稿は,論文としては扱われない。
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教育現場では,教職員特別手当で時間無制限で働くのが当たり前です。
・この働き方が実は異常なのです。
・□□大の附属学校では,総勤務時間を業務の緩急に応じて変える「変形労働制」を採用しています。平時には夜7時以降,基本的に誰も学校にいません。業務の持ち帰りもしていません。
変形労働制:http://tinyurl.com/2xut2dgm

現場の感覚で大学教員を過ごすと,「自由」を履き違えてしまい,気がつくと研究業績がなく,昇進ができず,立場のない50歳代を迎えることになってしまいます。

逆に,日々「主として研究に従事する」ようにされると,その結果は数年後に必ず現れてきます。これから5年間をいかにお過ごしになるかが,◯◯先生の大学教員としての成否を決めます。がんばってください。
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注)私立大学の多く(13.4%, 2017年度)は,裁量労働制を採用していません。https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/view/87152/24ace07922c12195fd487101c22bb4b3

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