30. 気が済んだ

結局、彼とは心の交流が何も無かった。
ただ、利用し合っていただけ。
ただの暇つぶしとか、寂しさを埋めるとか、他にいい人がいないからその代理で。

私もようやく気が済んだ。
完全に好きな気持ちがなくならないかぎり、誰がなんと言おうと、自分がどれだけ傷つこうが、止められないのだ。

それで、私は彼に会うのをやめた。
唐突に。
彼に、「別れよう」と言う気はなかった。
だって、彼は、私と「付き合っている」なんて微塵も思ってないのを知っていたから。

「お前など、ちょっと仲のいいだけの友達なんだから調子に乗るな」
と彼は言った。

そっか、そうだよね。
ちょっと仲のいいだけの友達か。

でも、私にとって、彼は友達には値しない。
私が一方的に恋愛感情を持ってしまったから成り立っていただけであって、冷めてしまえば、彼みたいな冷たい人間になんかついていけない。

私は、最後に彼と会った時の帰り、いつも通り別れを惜しんで、彼を見送った。
今までだと、彼は早く帰りたくて次のことを考えているような顔をしていたけど、この時は、ニコニコして、少し名残惜しい気持ちになっているような感じがした。
それはただの私の願望で、気のせいだったかもしれないけど。

そして別れ、私は二度と彼に連絡することはなかった。

どうせ、こっちから連絡しなければ、彼からは連絡してこないのだ。

こうして、彼と別れた。

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