見出し画像

兄のこと

子どもの頃は2歳年上の兄が絶対的存在で、私は金魚のフンみたいにくっついて遊んでいた。
お人形遊びより超合金やプラモデル。
おままごとより外で駆けずり回り、ビックリマンシールにキン消しに可愛くない遊びを主に楽しんでた。

2人の結束は固いと思っていたのに小学校高学年になった頃から突き放されるようになった。
袂を分かつ決定的な事が2つある

1:バドミントンで遊んでたら私の方が上手い事にイラついたらしくラケットでぶん殴られた。
安物のラケットは折れて私は頭から大流血し近所で騒ぎになった。

2:兄の部屋をガサ入れしたら堀江しのぶの写真集が出てきて動揺した私は元にあった場所と微妙に違うところに戻してしまった。←これが決定打

思春期の冷戦時代に突入してから10年以上ほぼ口を聞いた記憶がない。
そんな中、大学生になってからのある晩いつものように終電の時間に遊びに繰り出そうとしたら腕をつかまれて「こんな時間にどこ行くんだよ!!!」と叱責された。
なのに私はそのまま夜の街へと消えてしまった。
この日の兄の声を無視してしまった罪悪感は今もまだ残ってる。

かつて私のヒーローだった兄も立派なビール好きのむくんだおっさんとなり、今も会う度に「大丈夫か?」って聞いてくる。

ふわふわと好き放題に生きてきた私をずっと心配してくれてたんだなと気付いた時にはもういい大人になっていて2人でお酒を飲むのも照れくさく、正月に家族でお酒を飲むのを待ち侘びる私がいるのである。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?