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ハンコの未来

印章が全廃されることで、ハンコの文化がなくなってしまうことを危惧することを伝える報道をよく見る。この議論は少し変だ。

そもそも印章制度がなくなることでハンコの文化が廃れることにつながるとは言い切れない。真の問題は印章制度がなくなることでハンコ産業がなくなることではないか。

ハンコを作る人、売る人、つまりハンコに関わる産業が潰れていくことが問題なのだ。産業と文化は表裏一体の関係にある。もちろんハンコ産業が潰れてしまったら、文化も消滅する。そういう話なら理解できる。

歴史をたどれば、ガラケーはスマホに置き換えられるように、時代の流れで製品と名のつくものは代替品に取って代わられるのが常だ。ハンコも電子決済というものに取って代わられようとしている。

「構造変化は、その産業の外にいる者に例外的というべき機会を与える。ところが、産業の内にいる者には同じ変化が脅威と映る」

と、経営学の父、ドラッカーは言う。

ピンチをチャンスに変えることができれば、時代の波に負けず、ハンコ産業が進化を遂げるという未来もあるのかもしれない。

参考

・別冊宝島 1710号 まんがと図解でわかる ドラッカー 2011年 宝島社発行

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