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初めて蛍を見た日

試験による忙しなさから解放された。
数日間、勉強はおやすみしちゃおう。

と、そんな時。母と電話をしていた流れで突然
「今度、蛍を見に行かない?」とお誘いが。
ほたる…?蛍ってどこにいるんだろう…
まさか旅行…?などと思っていると。
なんと都内で蛍が見られる場所があるそうなのだ。

八王子市上恩方町にある
『夕やけ小やけ ふれあいの里』
そこで行われる『ホタルの夕べ』というイベントだ。

私は人生で一度も蛍を見たことがない。
二つ返事で賛成した。
「本当に?一緒に行く?!」
喜ぶ母、反応がまるで子供のよう。
実家に帰る日の夜、父の運転する車で行く約束をした。

ーー当日。
日中は学校の友人とランチ&おでかけの約束。
お目当ての雑貨屋さんに行った後は、友人お気に入りのカフェに連れて行ってくれた。
その道すがらにある文房具屋さんでガチャガチャ。
あのガチャ、私が好きそうなんだと教えてくれたのだ。
瞬間でときめき、頷きながら400円を入れて回す。
楽しい時間はあっという間だった。

THE文具シリーズのガチャ
一番ほしいものを一発で出せたのは初めて

電車で実家に帰り、実家から『夕やけ小やけの里』まで車で1時間弱。しばらく続く山道に、この道で間違いないよねと話しつつ無事に到着。

真っ暗で全く見えない足元の道を、iPhoneのライトを当てて母を左腕に支えて歩く。
「蛍見えるかなぁ」とそわそわしている母。

暗闇をしばらく歩いていくと、真っ暗な中でうっすら小さな人だかりが見えた。
iPhoneのライトを消す。
すると、青白い小さくて儚い光がひとつ、ふわ〜っと浮かぶのが見えた。
小川の音が聞こえる。
そうか、ここに綺麗な水が流れてるのか。
きっとすぐそこで蛍たちが光を放って生きてるんだ。

人だかりに近づいてみる。
ふわ〜っ ふわ〜っ と5匹くらいの蛍の光が浮かぶ。
わぁぁぁ…
いるいる…
その場にいる人たちも、自然と囁き声になっている。
儚げな光に、そっとしたい気持ちになるのかな。

数は多くないものの、幻想的な蛍の棲家があった。
蛍を見上げる人たちが心落ち着いたような、何かを懐かしむような表情で静かに微笑んでいた。
昔の人も同じように蛍を眺めていたんだろうか。

隣で母が「蛍、初めて見たかもしれない」と囁いた。
んん、今なんと…?
「実は蛍見たことあったかどうだったかなぁと思ったけど、今日初めて見た気がして。また来年も、と言わず毎年来たいな。」母の喜んでいる顔を見たら、私の感動なんてまだまだだなぁと思ってしまった。
母のリクエストにちょっと困り顔の父を横目に、毎年恒例行事にしちゃおうか〜なんて話しながら帰った。

『ホタルの夕べ』は6/25(日)までです。

学校の友人お手製の梅シロップで
梅酒ソーダ割を。

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