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育児に孤独を感じてた私が助けられた沖縄の出来ごと

10年前に初めて沖縄へ家族旅行に出かけた。

息子は当時、1歳半。かわいい時期だったけど自我が少しずつ出てきて、悩むことも多い日々だった。


初めての家族旅行、初めての沖縄!私はかなり前からガイドブックを読み込み入念なスケジュールを立てた。


沖縄に着き、まずは観光客に人気のカフェ「浜辺の茶屋」へ向かった。

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ちょうど干潮時刻で、写真で見たような海がギリギリまで打ち寄せるカフェのイメージとは違ったが、お茶をして浜辺を歩けたので息子は大喜び!

私も息子も生まれて初めてのヤドカリを見つけて早速、沖縄の自然に夢中になっていた。

当時、そのあたりではリーズナブルだった恩納村のリゾートホテルに泊まった。目の前は海だし、子供は周りを気にせず好きなだけ遊ばせられる。それだけで日常の緊張感から心が解放された。


私は学生を卒業してすぐに子供が産まれた。育児は初めてだし、友達は社会人になり少しずつ自由なお金を持つようになってキラキラした世界にいるように見えた。

家の中で夜まで誰とも会話せず、毎日同じことのくり返し。息子は可愛かったけれど、余裕はなかった。昼寝の時間でさえ起こさないようにとビクビクしていたし、公園ではママ友もいなくて子供を疲れさせるための耐久レースに思えた。

そんな日常から離れて、ゆっくりした時間が流れる沖縄はザワザワした心を落ち着かせてくれた。


2日目は備瀬のフクギ並木へ。

ここはフクギの木が生い茂っている小さな集落で雰囲気がとても良い。今でも沖縄に行くと足を運ぶお気に入りスポットだ。

フクギ並木を散歩したあと集落の中にある「ちゃんやー」でしゃぶしゃぶランチを頂く。

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縁側は気持ちよくて、つい長居をしてしまう。

そのあと、瀬底島という車で行ける離島へ移動し海で遊んだ。春の沖縄の海はアオサが点々と漂っていて風が心地よかった。

海から出てfuu cafeという庭が素敵なカフェで休憩。

沖縄は解放的なcafeが多い。沖縄が好きな理由の1つだ。

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息子とfuucafeの看板犬が可愛くて最高に癒された。


そしてあっという間の最終日。

那覇空港に向かう前に国際通りで市場やお土産屋さんを見て回っていた。この日は旅行の疲れか、帰ることを察知しているのか息子は機嫌が悪かった。

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抱っこをせがんだり、ひとりで歩いてみたりしていた息子がとうとう進行方向の反対へ行きたいとぐずり始めた。

私は楽しい旅行から日常へ戻る事の現実と、目の前で立ち止まってぐずっている息子を見ながら

「あぁ、またいつもの生活が始まるのか」と思っていた。

旦那が抱っこを提案しても息子は拒否。反対に行きたいと言葉にならない感情を叫ぶ。

「じゃあバイバイだよー」

最終手段。少し息子から離れてみる。

効果なし。

息子はたまに変なところで頑固だ。今もかわらないけれど。

飛行機の時間もあるし、無理やりセカンドバックの様に抱えて連れていくしかないのか。。と思ってた時

「じゃあ、おばーといこーねー」

と、息子と手を繋ぎその場から離れるおばー。

一瞬、何が起きたのか分からず夫と2人でその光景を見ていた。息子もビックリしてそのまま手を繋ぎ一緒に歩いてる。

数メートル歩いた後で、おばーが

「ママといないとおばーの家にいっちゃうねー」と一言。

私は「すみません!」と駆け寄った。息子はびっくりしすぎて、泣きもせず私と手を繋ぐ。

すると、おばーは

「かわいいねーまたねー」

と笑いながら歩いて行ってしまった。


帰りの飛行機、何故か心が軽かった。


今思えば息子の事を誰かに共感してもらいたかったんだと思う。大変とか、かわいいとか、知らない誰かと共有したかった。

東京では誰かに迷惑をかけない様に息子と過ごしていて、知らない誰かに自分の気持ちを共感してもらいたいなんて気持ちに気づかなかった。

この気持ちを知った私は、のちにセラピストになって孤独なお母さんに寄り添ってあげたいと思ったのだ。

沖縄の自然と人が私の気持ちを軽くしてくれた。

育児は自分の時間をコントロール出来ないし、孤独に感じてしまうことがある。

でも、それをそっと受け止めてくれる場所、人がいる事を今大変なお母さん達に知って欲しい。


息子は来週、11歳になる。



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