気を取り直して人生を彩るお仕事

彼は、一緒にいると安心するような人だ。

富士山の近くで、ピアノを作る仕事をしている、と聞いていたけれど、働き始めて会うのは初めてだった。
学生時代は、走るか、泳ぐか、教室の隅で穏やかに話す姿しか知らなかったから、ピアノを作っていると聞いて、とても驚いた。
彼とピアノは、近い場所にいる印象のない同士だったから、就職の知らせを聞いた時、とても驚いた。

大学の時に、クラシックギターと出会い、音楽と出会った、と話してくれた。
「色々なことをしたけれど、音楽に触れてからが1番楽しかった。」
と、少し小さな声で、そっと話してくれた。
今は、ピアノを作る過程で、機械の設計をしていると言っていた。

人生を豊かに彩る仕事をしているんだね、と
伝えると、細い目をさらに細めて、少し嬉しそうだった。

彼と一緒に食べたお蕎麦と、パッションフルーツのソーダは、意外な組み合わせでも、よく合った。

彼の生み出す音楽は、巡り巡って
色々な人の人生を彩るのだ。
どんなに小さい仕事でも、音楽を生み出すところにつながっている。

なんだかわたしまで嬉しくなって、彼と別れた後は、お気に入りの曲を聴きながら、浮かれ調子で歩いた。

#ともだちのはなし #仕事