嫌われる美しさ

街が死んだ午前3時。

シェアハウスのみんなもほとんど眠っていて、一緒にいるのはいつも私が大切だと呼ぶひと。

恋愛の文脈で語るいつものひとではなくて
彼とのストーリーを掲載するならたぶん少年ジャンプだと思う。

私は彼を想像するとき、タバコと、貧乏ゆすりと牛乳と、そして午前3時にしか生まれない静謐を思い出す。これから先も、多分ずっと。



「美里の美学はなに?」


彼がよく聞いてくること。

どう生きたら美しいか。


「大切なひとたちのために力を尽くせる自分であること。」

私は即答できる。


「美里らしいね。」

肯定も否定もしない。

私も自分で自分らしいと思う。


* * *

よく初対面の人に優しいね、と言われる。その話をしたら笑う人がいるけれど、それは私を理解している人だと思う。

私はどこまでも自分が大事で、優しくなんかない。

自分が価値を感じた人が私を離せないように、技術(その人が求めるその人が持っていないかつ私が手にしているもの)と体裁(綺麗な言葉を並べ弱者を気取り社会的に守られるのが自分であること)で相手の選択肢を奪っているから。

じわじわと、優しく殺していく。
私の中であなたが死んだら、次の相手を見つけるだけ。


彼がどこまで考えているかはわからないけれど、綺麗な言葉に逃げる自分もひとのせいにして生きていく自分も全て見透かされているようで

反抗したくなる塊を手渡すだけ手渡して、彼はさっさと進んでいく。

どれだけ同じ時間過ごしただとか、どれだけ彼に尽くしたかとか
本当の彼はきっと見向きもしない。彼が優しいのは、誰といても彼だから。ひとなんて変数は彼の人生に関与しないから。

エンジニアが好きだと言う。マーケティングよりも。
1から創り出しているひとが好きだからだと。


私の人生を否定するつもりもなく全部を覆す。今まで生きた時間を。


私は美学を即答できたのではない。美学に自分をあてはめている。
自分を洗脳し、外側から理想を作っている。
もちろん材料自体は私から生まれたものには変わりないけれど、積み重ねた先のものではなく、取り扱い説明書がある形の中から選んでいるだけ。
何ができるか分からないことが怖いのだ。


一方彼は、どこまでも私に殺されてくれない。
1人でいいから、みんなが集まる。


一度積み上げたものを壊してみようか。
楽しいことに、流れに、新しいものに身を任せてみようか。
私にとって簡単なことじゃないけれど、というかきっと誰にとっても簡単じゃないけれど。


人を言い訳にするのをやめる


創りたい世界から描いてみる



彼は今日もお昼をまわって起きてくる。
話したあとにタスクをしているのに、朝早起きなシェアハウス住民から見たらきっとぐうたらしてみえてしまうだろう。

気にも留めない。評価されるのが目的ではないことは、私はやはり強さに感じる。


嫌われてもいいや。まだ怖いけど。



お気持ちとっても嬉しいです!