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こーさんの共病キロク 12 合併症「気管支断端ろう」って…?


診察室に入ると
初めて会う女性の先生が座っていた。


先生は訳がわからないままイスに座ったわたしを気遣うように
「とても驚かれたかと思うんですが…」
と、ある名前を書きながら言った。

「旦那さんには"気管支断端ろう"の疑いがあります。」


そして図を書きながら、
わたしにでもわかるようとても丁寧に説明してくれた。


"気管支断端ろう"とは
肺の手術の合併症の1つ。

肺を摘出したときに、気管支の根元をきちんと結んで閉じて終えているはずなのだが、
まれに穴が空いていることがある。

そこから空気が漏れ出てしまい、肺があったところにその空気が溜まっていくというもの。

ただその空気は口を通して直接入る綺麗じゃない空気なので
たまると同時にばい菌が繁殖してしまい
それによって発生した膿が反対の肺に回ってしまうと
肺炎を起こす可能性があるという。


こーさんは左肺を全摘した。
そして目の前のX線には確かに、退院前にはなかった空気の塊が映っている。


もしも右肺が肺炎になってしまったら…?


命が危ない。




頭が真っ白になりながらもなんとか聞く。

幸い、現時点では右肺に膿や炎症らしきものは見えない。
ばい菌はまだ回っていないかもしれない。




そこで対処方法は2つ。

①穴が自然に閉じるのを待つ

まずは気管支鏡検査をして穴を確認。
そこで目立った穴が見つからなかった場合。
そしてドレーンをつなぎ左肺があったところにばい菌が繁殖していないことが確認できた場合。

右肺に膿などが回らないよう
左肺を下にして安静にし(手術創の側だから痛そう)
自然に穴が閉じるのをしばし待つという方法。


②開窓術を受ける

気管支鏡検査で大きな穴が見つかった場合
もしくは左肺にすでにばい菌が繁殖していた場合。

そのどちらか一方でも当てはまれば
開窓術という手術を受けなくてはならないという。

この開窓というのがとても衝撃的な内容で
(すでにされている方気を悪くされたらごめんなさい。
当時何も知らないわたしたちには驚く内容だったということです。詳細は最下部に記載。)

先生の説明では
今までの生活が今後2、3年、もしくはそれ以上のスパンで大きく変わるものだった。



「正直なところ、先生的にはどっちの可能性の方が高いと思いますか」

こーさんが聞いた。
あまりに開窓の説明に重点が置かれていたからだ。

「わたしはまだ片肺全摘して気管支断端ろうになった患者さんを見たことがないので、
なんとも言えないのですが…
②の可能性が高いのではと思います。」

「ちなみにこの病院でも年間200件ほど肺の手術をしていますが
その中で気管支断端ろうは1件あるかないかです。」



か、神さま私たち何かしましたか。

手術乗り越えたとおもったら…なんでですかーーー。





※開窓術…肋骨を2~3本ほど切除し胸部に孔を開け、胸腔内にたまった膿を含んだ胸水を排膿する外科療法。孔が開いた状態で生活するため、毎日ガーゼを換えるなどの処置が必要となり、水着などは着ることが難しいとのこと。(インターネットの情報と先生の説明より引用)

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